担当編集に訊く、コミックガーデン作品のウラガワ!MAGCOMI出張編 第6回

 

2023年1月号の月刊コミックガーデンで特集した「担当編集に訊く、月刊コミックガーデン作品のウラガワ!」好評につきボリュームアップして、マグコミに出張掲載!
計6回にわたってお届けしてきました本記事は今回が最終回。お付き合いいただきありがとうございました。マグコミ連載作品のウラガワ、ぜひご堪能下さい!

第6回目のインタビュー作品は
『あめつちだれかれそこかしこ』(著:青桐ナツ)
『怪しことがたり』(著:白鳥うしお)
『とつくにの少女』(著:ながべ)
『ドラゴン、家を買う。』(原作:多貫カヲ/作画:絢 薔子)
『迷宮ブラックカンパニー』(著:安村洋平)
『わたしと先生の幻獣診療録』(著:火事屋)
です!

 

『あめつちだれかれそこかしこ』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:9巻の人口(&人外)密度。
カバーイラスト作成の際は、毎巻、カバー案を数点提案して、その点数分ラフを描いていただいています。
そのラフを見ながら青桐さんとお話し合いをするのですが、これに決定した際に「これになったら(制作が大変で)イヤだなと思ってたけど、これになるだろうなとも思ってた」と言われました。
デビューからこのかた大体において、案の中でいちばん制作が大変なものに決まりがちらしいです。恐縮です。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:ピンポイントでこれというものとは違いますが、10巻全体でしょうか。
連載開始当初から、9巻からの年男不在エピソードは、作品の一つの到達点として設定していた話だったので、「ついに!」という感慨がありました。
44話完成後に青桐さんとも、「ようやくここまで…」とお話をしました。
最初から見返しても、コミックス収録時にまで大幅に修正が入ったのはこの巻だけです。

 

『怪しことがたり』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第1巻のカバーイラストです。女子高生の主人公やちほというヒロインを取り囲むように、 和風ファンタジー作品らしい雰囲気のあるモチーフをたくさん描いてもらいました。本作を象徴するカバーになっていると思います。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:ちまちました小物が個人的に大好きなので、小さなお爺ちゃん精霊モロが、小さな食器とか道具を使いながら小さな社で過ごしている様子が描かれている画面を見るのが、たまらなくツボでした。今はどうしてるのでしょう。

 

『とつくにの少女』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第2巻口絵のイラストです。雑誌表紙にもなったのですが、湖畔の青のうえにボートが浮いていて『とつくにの少女』としては色がしっかり入っているので、印象深いです。『とつくにの少女』は作品傾向上、トーンの抑えられたカラーが多く、それもまた魅力なのですが技巧優れた作家さんですので、鮮やかな画面もまた見てみたいなと思ってしまいます。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:タイトルについてです。まず、仮題「呪いの少女」で、次に連載予告は「Siúil a Rúin」、最後に『とつくにの少女』というタイトルへと変わっていきました。初めの仮題も良かったのですが、単なるホラーと捉えられるのは非常に勿体ないという思いがあり、タイトルについてながべさんと相談していました。考える中で、ネーム確認等の際には僕がclannadというバンドの曲をよく聴いていたのを思い出して。その中から一番雰囲気があっていたアイルランド民謡の「Siúil a Rúin」でどうかと伺った所、ながべさんも気に入ってくれてこれで行こうとなりました。然し、予告掲載後に会社からセールスのことを考えると日本語が良いという意見があり。キーワードを上手く違和感にしたいと考えて、黒と白…内と外……と考えていた際に、指輪物語のことを思い出したんですね。“中つ国”があるのだから、内と外もあるだろうという所でした。世界の外殻を巡る物語でもあったので「外つ国」とし、仮題の良さも残しつつ、より違和感をたてる為に平仮名にして言葉を意味から開放しました。その結果として『とつくにの少女』というタイトルとなり、ながべさんに確認した所、喜んでいただけて採用されたのでした。懐かしいですね。

 

『ドラゴン、家を買う。』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第3巻ですね。お姫さまであるネルの初登場巻なのですが、彼女のやんちゃな感じと、それに振り回されるレティの様子がよく出ていて大好きです。カバーイラストにはその巻の内容がさりげなく盛り込まれているのですが、小さくどこかに勇者がいるので是非探してみてください。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:第1巻の帯のキャッチ「ダンジョン? いいえ、マイホームです。」です。最初はもう少しお固く作品を表現するものだったのですが、コメディ作品なのに遊び心が足りないことが引っかかって、ギリギリでこちらに差し替えました。以降の方向性が定まったという意味でも、印象深いキャッチです。

 

『迷宮ブラックカンパニー』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:やはり第1巻になります。実は最初、リムは裏表紙側にいたのですが表紙の方に出てきてもらいました。ひしっとニノミヤにしがみついた様子が彼女らしく、結果としてとても表紙が華やかに。あと、全体に散らばった金貨ですがもともとのイラストには無く、実は第1話のカラーイラストから流用されています。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:第8巻の帯のキャッチ「迷宮ホワイトカンパニー、起業!?」でしょうか。作中の新展開に合わせてデザインも赤から白ベースにリニューアルし、それに力負けしないようタイトルをもじったキャッチにしました。文字やカットの配置が素晴らしく、デザイナーさんのお仕事ぶりも光っているのが印象的です。

 

『わたしと先生の幻獣診療録』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第2巻です。街中・市場、エサをもらいに来ているハトに混じり幻獣が描かれています。信仰が薄れ、徐々に人の目には見えなくなっていく幻獣ですが「見えないだけで貴方のすぐ傍にいますよ」という表現ができたかと考えてます。あえてキャラの目線を読者側に向けず、情景画にしたのも先生のこだわりです。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:この第2巻の帯キャッチで、訴求の方向性が改めて固まったかと思います。ただ幻想的なだけではない、ノスタルジックなイメージもキャッチで表現しました。うって変わって、火事屋先生の遊び心が炸裂した「まじかるナースツィスカちゃん」(使い魔はニコ先生)。全5話、カバー下での連載となりました…!

 

作品作りのウラガワで活躍する編集者のウラ話はいかがでしたか?

これからも沢山の作品をお届けしていきます。マグコミをよろしくお願いいたします!


【下記タイトルから 第1話が読めます!】
 

『あめつちだれかれそこかしこ』
『怪しことがたり』
『とつくにの少女』
『ドラゴン、家を買う。』
『迷宮ブラックカンパニー』
『わたしと先生の幻獣診療録』