2020年3月期
第51回募集、奨励賞1作品・努力賞2作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(3月31日締切分)
賞金3万円
『ぬいとりどり』
金城は夏(28)
あらすじ
クールな強面青年・北条先輩の隠れた趣味はぬいぐるみ撮影!? 後輩女子・宮本は秘密を共有し急接近するも、北条先輩の“こだわり”に圧倒されて―…?
作品講評
親近感のある可愛らしいキャラや話題性の高いコンセプト、飽きさせずに最後まで読ませるテンポの良さに評価が集まった。キャラも世界観や絵柄と調和しキャッチーな企画で、全体がそつなくまとまっていた。ただテンポが一辺倒で後半が少し物足りないため、爆発力のあるネタを後半に盛り込んで読み味に変化を与えてみてはいかがだろうか。またキャラも立っているが強い印象を与えるにはもう一息な印象に。魅力の核となる部分を掘り下げてキャラクター性の強調を試みてほしい。
賞金1万円
『うちのゲームがバグりました。』
スガン(35)
あらすじ
昔遊んだ思い出のゲームの中へと入り込んでしまった、女子高生のリコ。しかし、その世界はバグに浸食されていた?世界を元に戻すためリコはゲームのキャラクターと旅に出る…!
作品講評
絵柄のかわいらしさやコマ割の安定感が高評価を得た作品。しかし、肝心のゲームの世界に入ってからの展開が薄味な印象。一つ一つ出来事をより深く展開させたり、レトロなゲームの作風を活かし「レトロゲームあるある」を組み込んだりするなどして、作品全体で伝えたいことを強く主張してもらいたい。またキャラクターが数多く出てくるが個々の見せ場や特徴があまりないので、それぞれを活かせると、引き込まれるような世界が作れるだろう。
『オレは姉山さんに告白する!死ぬかもしれないが』
古澤消炭
あらすじ
高校生の山有君は、同じクラスの姉山さんに告白しようと、明日の放課後校舎裏に来て欲しいというメールをする。その時がくるのをドキドキしながら授業を受けていたのだが、姉山さんは放課後そのまま家に帰ろうとしていて?
作品講評
丁寧な作画や読みやすいネームに加え、まだ荒いながらも個性的なキャラに魅力を感じ、受賞に繋がった。まだ硬さが残るデッサンや、物の質感が弱い背景などは、これからも勉強を怠らず励んで欲しい。また、この作品はどういうジャンルなのか分かり辛い物語の構成になっており、これでは読者がどう楽しめばいいのか悩んでしまう。次作からはその点も意識し、より魅力的なキャラ作りをしていって欲しい。
『HELLIG 迷える画家の話』(完成原稿部門)
ひやま すなお(32)
奨励賞1作品・努力賞2作品選出。
一定の水準を感じられる作品が出揃った今回。
『ぬいとりどり』は定石を抑えたキャラ作りや、ネタを繰り出すテンポの良さが評価され、奨励賞と相成った。次の壁を乗り越えるには、読者の存在をどこまで意識できるかが鍵だろう。自分の絵柄やネタを好んでくれそうな読者は、他にどんなものを好むのか探ってみるのも一つの手だ。幸い、SNSで読者も積極的に自分の好むものを発信している時代だ。ぜひ読者の顔を想像して作品作りに生かしてほしい。
努力賞の『うちのゲームがバグりました。』は画力やネーム面での読み心地の良さで受賞と相成った。しかし、物語はお話のスタートとゴールを繋ぐだけでなく、物語の中で出来事が起こるたび、読者に驚きをもたらす展開を作ってあげないといけない。そのためには、出来事に対してキャラがどんな反応をしてどんな解決を図るのかを深く考えることが必要だ。ぜひキャラクターと向き合ってお話作りをしてほしい。
同じく努力賞の『オレは姉山さんに告白する!死ぬかもしれないが』は、キャラの個性に準じながらも読者の予想を裏切る展開が繰り広げられた点が評価された。しかし、出来事と出来事を繋ぐ何気ないコマのぎこちなさが、テンポを悪くしており非常に惜しい。コメディはリズムよくページを捲る心地よさも楽しみの一つ。2ページ単位、4ページ単位など小さくページを区切ってネームを見返してみてほしい。
今後も一点突破なこだわりが炸裂した作品をお待ちしております。