月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2020年5月期

2020年5月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第53回募集、奨励賞1作品・努力賞2作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(5月31日締切分)

完成原稿部門:奨励賞賞金3万円

『好きです、姫子さん』

+特別掲載

『好きです、姫子さん』

青山花兎

あらすじ

気弱な少年である“僕”は、不良から助けてくれた姫子に一目惚れをする。ある日、僕は意を決して姫子に思いを伝えてみたが…。

作品講評

ストーリー構成、作画が全体的に安定しており特にヒロインの表情がかわいい。作画はまだ固い部分もあるので今後も伸ばしていって欲しい。特に動きのあるシーンや表情のバリエーションが増えると良いのと、女性キャラのかわいらしさを引き立たせるためにも男女差が絵から見えると尚良い(逆の場合も差は意識してほしい)。内容はまとまっているもののオリジナリティを更に持ってこれるかどうかが課題。今後に期待。

受賞作品を読む

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『しゅげだん』

『しゅげだん』

笹林

あらすじ

手芸店「Merceria」で働く女の子・針生と、個性豊かでちょっと変わった手芸男子店員達が送る、コミカル手芸店日常ストーリー。

作品講評

企画性が良く、その企画を生かしたネタが盛り込まれており受賞に繋がった。また、個性的なキャラが出ていたのも高評価。しかし、この魅力ある企画をより良い状態で読者に届けられていない点が勿体なかった。まず線のメリハリが弱く全体的に見辛い点と、キャラのデッサンがまだ硬い点に改良の余地がある。また、4コマにしてはページが長いので冗長的になってしまったのが惜しかった。よりコンパクトに物語をまとめ1Pごとのネタの精度を上げて欲しい。上記の点を意識しつつ次作に期待。

『涼子さん』

『涼子さん』

富山コメコ(24)

あらすじ

東京で働くキラキラ女子の涼子さん、今日は何処かへお出かけの様子。さて彼女の向かう先は…?

作品講評

9Pという短いページの中に丁寧に描きこまれた背景と食の作画に評価が集まった本作。デフォルメキャラがこなれていない印象を受けるので、自身の絵柄に合うデザインを模索してほしい。飯を美味しく食べるキャラ性は良かったが、最後のコマを一番おいしく見せるためのキャラの心情の積み上げが不足しているように感じた。都会の食べ物を美味しくたべつつも、気持ちが満たされないように描写する等、なぜ主人公は田舎のごはんが涙が出るほど美味しく感じるのかを熟考することでより作品が良くなったのではないかと思う。次回作に期待。

最終選考作品

『世界の終わり、さよなら明日。』(完成原稿部門)

九重 樹(19)

『ノスタルジックトラベル』(完成原稿部門)

兎杜ちあ(24)

『海の神の島』(完成原稿部門)

長槻夏紀(15)

『雪平さんちの飼い猫と僕』(完成原稿部門)

藤乃(21)

総評

奨励賞1作品、努力賞2作品選出。
安定した実力を感じる作品が集まった今回。

『好きです、姫子さん』はストーリーや作画など総合的に安定感のある仕上がりで受賞と相成った。しかし同時に、著者ならではの強みがまだ出せていないことが最大の課題。誰もが一度はぶつかる壁だが、乗り越える手段の一つはインプットの幅を広げることだ。例えば自分の「好き」から遠いものをインプットすることで、自分の中のこだわりが浮き彫りになるかもしれない。たくさんの作品に触れて自分の養分にして欲しい。
『しゅげだん』は企画性を意識して作品に取り組んでいるところが評価された。手芸をしっかり調べているようだったが、一方で手芸の趣味がない読者を取り込む切り口として「男性キャラのキャラ性」で良かったか、振り返る必要があるだろう。読者が食いつきそうな要素を並び立てるだけではなく、相乗効果を生むにはどうすればよいかを考えていこう。
『涼子さん』は短いページ数でどれだけキャラ性が出せるかに挑戦した意欲作。だからこそ一つ一つのシーンが疎かにできないのだが、演出を細部まで詰めきれていなかったことが惜しい。涼子さんをどんな人だと読者に受け取って欲しいのか。どんな言動なら狙った印象を与えられるのか。仕草一つ言葉一つでキャラの印象はグッと変わるはず。ギャグコメディ以外で短いページ数の作品に挑戦する際は、演出の実験場だと思って取り組んで欲しい。

今後もアイデアを詰め込んだ作品をお待ちしております。

6月末〆切の発表は
2020年7月30日!