月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2020年10月期

2020年10月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第58回募集、期待賞1作品・奨励賞1作品・努力賞1作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(10月31日締切分)

完成原稿部門:期待賞賞金5万円
受賞作掲載

『王子ハミルとメイドのシキ』

『王子ハミルとメイドのシキ』

スガン(35)

あらすじ

気難しい第5王子・ハミルのもとへやってきた、メイド・シキはちょっと変!? ハミルはシキに振り回されながらも、少しずつ絆されて…。

作品講評

高い画力と、安定した展開が評価された作品。見やすい画面作りなども良かったものの、キャラクターデザインや演出に、もっと華が欲しかった。自身のフェチズムを掘り下げたり、既存の商業作品を研究するなど、キャラクターを前面に出すための演出の検討に取り組んでみて欲しい。また、ネタはどれも面白いが、キャラクター的に強烈なインパクトのある言動がほしかった。読者の記憶に残るようなキャラクターの言動とストーリー展開を目指してみてはいかがだろうか。

受賞作品を読む

完成原稿部門:奨励賞賞金3万円

『不退の騎士』

『不退の騎士』

かなどめはじめ

あらすじ

修道女のソニアは包帯だらけの騎士・ジェラルドを伴い辺境の村に寄付金の取り立てにきていた。しかしその村は盗賊からも理不尽な取り立てにあっている状況だった。見捨てる訳にもいかないが、人数的に不利な状況に対して二人が取った選択は…。

作品講評

女性キャラが可愛く描けているのと、アクションシーンの迫力が素晴らしかった。ただ作画の力の入れ具合がページごとにまばらで、描けている部分がしっかりしているので却って力を抜いている部分が浮き彫りになってしまっている印象。ストーリーも長くなってしまっているので魅せたいキャラクター・プッシュしたい要素、それぞれもっとしぼって作品のメインテーマが読者に伝わりやすくしてほしい。

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『優しい人たち』

『優しい人たち』

涼月トイロ(23)

あらすじ

電車で偶然乗り合わせた男子三人が、おばあさんに席を譲るといった優しい行動から始まるほんわか物語。どんどん優しさが連鎖する!?

作品講評

丁寧に描かれていて漫画に対して意欲を感じる努力作。画面は見やすかったが、物語が冗長な流れで展開の起伏が乏しく感じられた。「優しさ」がテーマなのはわかるのだが、「優しさ」を見せたい漫画ならそれが際立つイベントがほしかった。ややご都合的な流れもあったので、読み手のことを意識して違和感を与えない作りを心掛けよう。また、絵にクセがあること自体は良いのだが、今回は評価されない方向にクセが出た印象なので、より多くの読者が魅力を感じる絵柄を模索しながら、引き続き頑張ってほしい。

総評

期待賞1作品、奨励賞1作品、努力賞1作品選出。
実力ある作品が密度濃く集まった今回。

期待賞の『王子ハミルとメイドのシキ』は画力・ネーム両面において水準の高い画面づくりが評価された。キャラで物語を牽引していこうと気概が感じられた点は、前回の応募作から着実にパワーアップしていると言えるだろう。しかし、狭い世界の小さな軋轢を取り上げたに過ぎないので、舞台設定自体がキャラの強い個性を発揮しにくい場となっていた。キャラクターを考える際には、ぜひ彼らが華やかに踊れる舞台を作りあげることも意識していこう。
奨励賞と相成った『不退の騎士』は、こだわりを感じるアクションシーンと決め絵のキャラの可愛さが好評を得た。しかし、山場のシーンにいくら全力を込めて描いても、途中までのページで安定感が欠けてしまうと読者はページを捲るのを止めてしまう。読者は一瞬で読み終えてしまう1ページ1ページだとしても、読者に物語を楽しんでもらう大事な1ページなんだと意識して、ネームも作画も取り組んで欲しい。
努力賞の『優しい人たち』は大きなテーマに取り組んだ意欲作。評価された点でもあるが、やはり扱う主題が大きく、その細部をフォーカスしきれなかった印象は拭いきれない。一方で絵については細部における力の入り方に差が出すぎており、見づらさに繋がってしまっている。物語については深く、絵については広く視野を持つことを意識し、練習方法などを模索していこう。

今後も自身のこだわりを詰め込んだ作品をお待ちしております。

11月末〆切の発表は
2020年12月30日!