お久しぶりです!編集Nです。今回の研究に取り上げるのは……この作品!!
MAGCOMI読者には釈迦に説法かもしれませんが……「この作品を読んだことない」というような方もいらっしゃるかもしれないので、まずはNの独断と偏見による簡単なあらすじを説明します。
※一部作品のネタバレを含んでいますので、ご注意ください。
『骨ドラゴンのマナ娘』とは!?
あらゆるものが棄てられる屑篭の森。そこへ落とされた幼き少女・イブは、死期を間近に控えた老ドラゴンに拾われ育てられる事に。ネムと名付けられた老ドラゴンの庇護の元、イブは健やかに成長するが、平穏な日々は束の間、悲しき別れの時が…。だが、イブは驚きの行動に出て…?老ドラゴンと少女、種を超えた親子の成り上がり育成ファンタジー!
不要なものが行き着く先、あらゆるものが棄てられると言われている屑篭の森。
ある日、この森に一人の幼女が棄てられます。
その名は、イブ。
高所から落とされ、容赦なくゴロゴロと転がってたどり着いた先は――
ドラゴンの巣でした\(^o^)/
とはいえ、このドラゴンはイブに危害を加えるつもりはありませんでした。
それどころか、何の気紛れか自己治癒力を高める自らの血まで分け与え、ゆっくり寝かしつけてあげます。
その結果——
ター●ンごっこができるくらいに
めちゃめちゃ元気になりました('ω')
その後、互いの自己紹介を済ませ二人は「イブ」「ネム」と呼び合うことに。
こうして、老竜と幼女、二人で過ごす日々が始まったのですが――
5年後、それは急に終わりを迎えることになります。
理由は、ネムの老衰によるものでした。
200年以上を生きる竜といえど、寿命には勝てない。
こうしてイブを一人残してしまうという後悔を抱えながらも、天寿を全うしようとしたネムでしたが――
骨になったまま魂を呼び戻されます( ゚д゚)
なんと、イブは拾った本で魔術を修め、半年をかけてネムをこの世に呼び戻したのです!
そうまでしてネムと一緒に過ごしたかったのか…! と感動した私でしたが――
ただやり残したことがあるか訊きたかったようです(´・ω・`)
こうして無理やり現世に呼び戻されたネムでしたが
改めて周囲を見ると、凄まじいことになっていることに気付きます。
実は、イブは周囲の環境を一変させるほどの膨大な魔力を持っていたのです!
未熟な召喚術とはいえ、半年でネムを復帰させることができたのもこの魔力によるものでした。
そんな中、この魔力を上手くコントロールさせ、イブを同族のいる環境で暮らしていけるようにすることこと自分が復活した意味だと思うようになるネム。
ついには屑籠の森を出て、人間社会に馴染めるように行動に移そうとします。
その為に掲げたスローガンが――
人脈・金銭・健康というものでした(`・ω・´)
こうして人里で暮らしていける術を学ぶべく、森から出て生活する――というところから物語が始まるのですが。
ここで、私の「気になったことは徹底的に調べないと気が済まない」という性分が鎌首をもたげました。
それは――
ズバリ! 本作における竜の生態やその価値についてです。
竜と一口に言っても、作品や描かれ方によって多種多様な表現があります。
東洋のように蛇に近い存在から、西洋のようにモンスターに近いモノもあれば、爪や牙、指の本数、寿命、その体質まで様々です。
更に、本作は竜の牙や鱗が日常的に売買されている世界観であることから、何らかに加工して販売しているということが推測できます。
この事実を知った途端、私の頭には次から次へと疑問が湧き出てきました。
すなわち、
本作における「竜」とはどのような存在なのか?
そもそも、一般的な竜の生態とは? また、その定義とは?
竜の各部位が売買されているのなら、その価値はどれくらいになるのか?
部位ごとに販売価格に差はあるのか? また、日本円にしたらいくらなのか?etc.……
一度そう思ってしまえば、最早それは呪縛のように私の心を蝕んでいく。(妄想)
ということで、前置きが長くなりましたが―――
第20回マグコミ漫画研究部!~MAGCOMI作品のどうでもいいことを真面目に考察してみた~の議題は、こちらになります!!
『骨ドラゴンのマナ娘』に登場する竜の生態や価値について研究してみた
まずは、竜がどのようにして生まれたのかについて調べてみました。
そもそも、竜という存在の起源については明確にはわかっていません。
古代メソポタミア文明(紀元前5,000~3,000年ごろ)時代の壁画に描かれているものが世界最古の竜とも言われていますが、そこから派生するように、数多の大陸・文明で「竜」と呼称される存在は生まれていきます。
何故そうなったかということについては諸説あるようですが、有力なのは
地面を掘り返したときに出土する恐竜の化石をみた古代人が、
「骨があるのなら、この動物も実在しているに違いない!」
と閃き、想像を膨らませていった……という理由だそうです。
現代人には「恐竜」という知識が当然ありますが、
当時の人がこれだけ巨大な骨を持つ生物の化石を見つけたのなら、そのような怪物(?)がいると空想するのも無理はないのかもしれません(;^ω^)
現代人も宇宙人やネッシーなどのUMAの実在を夢想したりするものですが、古代の人もそういう妄想を繰り広げていたのだと思うと、なんだか親近感がわきますね…!
また、ワニやオオトカゲなどの大型爬虫類がいたことも、竜の実在についての信憑性を上げたのでしょう。
こうして竜という存在は数多の文明で生まれていき、その姿かたちも様々なものが生み出されていきました。
ですが一般的には、竜というと大きく分けて2つの姿を連想する方が多いのではないでしょうか。
それは、ズバリ東洋の「龍」と西洋の「竜」です。
東洋(主に中国から日本あたり)の龍は、一般的には蛇に近い下記のようなイメージが多いかと思います。
逆に、西洋の竜というと、もっとガッシリした体躯&翼を持つ下記のようなイメージであることが多いです。
言葉としてはほぼ同じ存在ながら、この違いはなんなのか?
これは、ひとえに当時の人々の文化・風習――「竜」という存在を悪と捉えているか、善と捉えているかによって変わってきた為に起こり得る事象のようです。
西洋(ヨーロッパ圏)において、竜とは大きく恐ろしいモノであり、そこから転じて悪の化身、忌み嫌われ災いをもたらす倒すべき存在として扱われていました。
実際に竜を倒した英雄伝説、神話や伝承などの説話は数多くありますし、キリスト教には聖ゲオルギオスという竜退治の伝説で有名な聖人も記されているほどです。
逆に、東洋の龍とは神聖なもの――天や水を司る神のような扱いを受けています。
これは、時の権力者(皇帝)などが龍を自らを象った存在としたことが大きく、平民にとっては龍=敬うもの という図式が出来上がったことが大きいようです。
実際に、後漢の劉邦など自らに龍の血が流れていると吹聴することで、権威・名声を高めた英雄もいるほどなのだとか。
こういった文化の違いもあり、西洋と東洋においては明確に違う姿かたちや生態を持つ「竜」が出来上がったようです。
とはいえ、本作のネムはどちらかといえば西洋風の竜の姿をしているので、
西洋の竜に影響を受けていることは間違いありません。
では、西洋の竜とはどのような特徴を持つのか?
一般的には、鱗に覆われた爬虫類を思わせる身体を持ち、鋭い爪と牙を備え、しばしば口や鼻から炎や毒の息を吐く。有翼で空を飛ぶことができ、体色は漆黒・濃青色・白色など様々……ということが多いようです。
東洋龍との明確な違いは、宝玉や逆鱗、髭などの存在でしょうか。
これらは東洋龍だけにある特徴で、西洋竜においては必ずしもあるわけではありません。
逆に、西洋竜はその身体を構成する器官が何らかの効果を持つことが多いというのが特徴のようです。
作中でも、ネムの血は自己治癒力を高める効果があったり、
ネムの心臓の結晶は魔力媒体になるので、イブの持つ杖に嵌めていたりしていましたね!
ちなみに、「竜の血が人体に何らかの効力を持つ」という話は、古くはゲルマン神話のジークフリートなど、神話にも数多く登場するエピソードのようです。
とはいえ、さらにそれを人々に広めたのは、実在する植物竜血樹の存在だと思います。
竜血樹とは、リュウゼツラン科ドラセナ属に属する常緑高木のことを指します。
ファンタジー漫画に登場しそうなほどカッコいい名前ですが、れっきとした実在する植物です。
姿かたちとしては幹のある高さから一斉に無数の枝を出し、非常に密な樹冠を形成するユニークな形をしており、パッと見はブロッコリーのようにも見えます。
この竜血樹の大きな特徴の一つに、樹液が赤いということがあります。
一般的な樹液は無色だったり茶色がかっていることが多いですが、この竜血樹には赤色を生み出すアントシアニン化合物が含まれている為、幹を切り倒すと凄惨な殺人現場かというくらいドバドバと赤い樹液があふれ出るのです(;'∀')
そうして木々から大量の樹液が出ているのを見た人たちが、「こんな大量の血(樹液)を出す動物なんているはずない。これはまさしく幻の生物、竜の血だ!」というように捉えて命名された……という説もあるそうです。
その奇妙な生態故なのか、インド洋の西端に浮かぶソコトラ島、アフリカ大陸の北西沿岸にあるカナリア諸島くらいにしか生えてない非常に珍しい植物なのだとか。
過去にはその島における特産品として、数多の国々との貿易に使われていたそうです。
更に、この竜血樹からとれる樹液(竜血)ですが、実際に人体に効果があると言われています。
古代ローマの時代から鎮痛効果や止血のための薬品や染料としても使用されてきており、昔はあらゆる病に効く「万能薬」というような扱いを受けたこともあるのだとか。
この伝承が世に広く伝わり、現代ではゲームや漫画でも取り上げられることが多くなったため「竜の生き血は何らかの効果がある」というような認識が生まれていったものだと考えらています。
こうしてみると竜やその伝承にも歴史があり、中々興味深いですね…!
竜血樹、いつかこの目で直接見てみたいものです。
調べると画像や動画で確認することはできるので、気になった方は是非調べてみてください!(幹から血が出る光景は少しグロくもあるのでご注意を)
とはいえひとまず、これで竜という存在の生態についてはある程度把握することができました。
次に気になるのは、そのような貴重な存在である竜の存在価値についてです。
大抵、数多あるファンタジー作品では竜の身体(鱗や角、牙など)は武器や防具に使われたり、その他何らかの加工品の素材となることが多いです。
本作でも、上記のような竜の牙の売買描写があることからも「竜の素材は金となる」という文化・風習があることが伺い知れます。
では具体的に、本作ではどれくらいの価値を想定しているのか?
作中の描写に調べてみたところ……
上記のような記載がありました。
ただしこれはあくまで小型種の価値のようで、大型種だともっといい値段もつくこともあるようです。
現に、200年以上生きた老ドラゴン・ネムの歯は300万以上で取引されています。
ここで気になるのは、この世界の通貨と現実世界の通貨はどれくらい違うのかということ。
この世界ではLという通貨単位が使われていますが、これは円に換算するといくらなのか?
相場がわからないことには現実にも置き換え辛いかも……と考えていたところ、一つ参考になる作中の描写を見つけました。
それは、宿の価格についてです。
イブとネムが人里に下りてきて知り合ったユウルは、主人代理として宿を経営しています。
この宿ですが、「お化け屋敷」と呼称されるほどに不穏な雰囲気を漂わせており、常日頃から閑古鳥が鳴いているような状況です。
その宿の料金が、12歳以下は素泊まり1200Lという記述がありました。
その値段を安いと感じたイブとネムは、ここに泊まることを即決するのですが――
日本だとお金を払ってどこかに一泊しようと思ったら、最低でも5,000~10,000円近くが必要です。
カプセルホテルやネットカフェ、ゲストハウスなどならもう少し安そうですが、それでも平均すると1,500~3,000円くらいは必要になるのではないでしょうか。
そう考えると、Lと円の価値はそう離れていないのではないかと推測できます。
1円=1Lとするなら、この宿の値段は1,200円ということになります。
一般的な宿の相場としては格安ですが、「お化けが出るかもしれない宿」「素泊まり」「12歳以下」という条件を加味すると、現実でもこれくらいの値段であっても違和感はありませんし、「安い!」と即決して泊まるということも無理からぬことかと思います!
と、いうことで――
結論。
『骨ドラゴンのマナ娘』の世界における竜の価値の相場は現実世界に換算すると、
生ウロコ:30万円
生爪:80万円
生歯:50万円
であり、ネムなどの老成した竜はその10倍以上の価値で売買されている世界観である!!
この研究結果を是非お尋ねしてみたいと考えたNは、著者である雪白いち先生にインタビューを試みました。
かくかくしかじかとそういう訳で、上記結論をマグコミ研究部公式見解として出しました!いかがでしょうか!
ご考察いただきまして、ありがとうございます。
概ねそのような感じで、老竜であり更に大型種の採取物は特に希少としています。
作中通貨と円はほぼ同じと考えていただいて大丈夫です。
٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ ヤッタ~! 考察が当たって嬉しいです!
とはいえ、そうした方が説明を省けていいかなと思った程度で、深くは考えていないのですが。ただ、作中で出てきた採取物の値段は象牙などを調べて何となくで決めたので細かい事は考えておらず、今後改めて設定を固めるかもしれないので回答は”概ねそんな感じ”とさせていただきました!
なるほど(笑)。承知いたしました!ちなみに、このブログで描写した「竜」の起源や西洋竜と東洋龍の違いについてはご存知でしたでしょうか?
「外見・造形は好きだけど詳しくはない」という人間なので、「竜と龍は外見と在り方が異なる」程度の認識でした。なので竜の起源など知る事が出来て始終「へー!」という感じで楽しく読ませていただき、とても面白くて勉強になりました!
そう言って頂けると嬉しいです!竜という存在の起源は本当に諸説あるようで、ハッキリしていないというのはロマンがありますよね。細かく分けると、仏教の竜王、インドのナーガ、ドイツのリンドヴルムなど様々な種別・亜種もいるようですし…。ちなみに雪白先生は本作を描くにあたって、竜という存在の資料を集めたり、調べられたりもされたのでしょうか。
私がこの作品を、というか竜を描く上で調べたのは存在する(した)生物の外見や骨格、歩き方・走り方など見た目に関する事がほとんどです。腕と翼がある場合の肩甲骨は一体どうなっているんだ、と悩んで呻いた記憶があります。
あとは今まで自分が見てきた漫画や小説や映画やゲームで蓄積された情報に、理想と妄想と願望を足したのが作中の竜達です。調べる事に関しては、竜という存在よりもコウモリや爬虫類・恐竜の方が多かったと思います。
なるほど…! 描く上で、骨格や歩き方は重要な要素にですもんね。そういう点では、たしかに竜自体ではなくコウモリや大型爬虫類の身体の構造などはとても参考になりそうです。肩甲骨についてもたしかに気になりますね(笑)。
そういう観点からだと、竜の各部位の描写だったり、Lを使った売買なども今後本編で描かれていったりもするのでしょうか?
考えるのが大変なので、価値や売買関連は…深く描くか・描けるかは今のところ分からないです。金銭(カネ)の事なので全く触れないとはいかないかもしれませんが。話の進行上で必要なら入れますが、基本的にさらっと描いてさらっと進めています。頭を使う話が必要になった時はおそらくネタ作りを担当さんに丸投げすると思います。
それは、担当編集Mさんの責任重大ですね…! そういえば、そもそもネムとイブはいろんな依頼をこなして収益を得ていますが、ちゃんと貯金をしていたりするのでしょうか。
今後描く機会があるかもしれないので細かい回答は控えさせていただきますが、貯金についてはしているのではと思います。ネムがしっかりしていますし、イブも散財するタイプではないでしょうから。
なるほど! 承知いたしました。たしかに、イブが食事以外で散財する場面はあまり想像ができないですね…(笑)。そのような話が描かれるのを楽しみにしております(*'▽')。この度は、インタビューをお受けして頂きありがとうございました!
こちらこそ、作品を取り上げていただきありがとうございました!
……………………………………………………。
……………………………。
…………。
と、いうことで……
作中の通貨「L」と日本の通貨「円」はほぼ同じ価値があり、竜の部位の売買の値段は掲示した通りだが、老竜であり大型種のものはさらに希少であるということが本作の公式設定となりました!
もしこの記事を読んで興味を抱かれた方がいましたら、是非皆様も竜の部位やその価格についてお調べしてみてください!!
そして、もしまだ『骨ドラゴンのマナ娘』を読んだことのないそこのアナタ!!
これを機に読んでみてはいかがでしょうか!
現在、下記にて第一話が無料で読めますので、少しでも興味を抱かれましたら是非お読みください!
また、11月12日(金)に『骨ドラゴンのマナ娘』第2巻が発売しております♪
よければ是非ご購入ください!
更に!! 『骨ドラゴンのマナ娘』第2巻発売を記念し、特集ページにてスペシャルインタビュー&プレゼントキャンペーン情報を掲載!
特集記事は11月25日公開予定です! お楽しみに!
以後もこのような形で、私Nが独断と偏見で選んだMAGCOMI連載作品の気になった点を考察・研究していこうと思います! 次回もお楽しみに!
©雪白いち/マッグガーデン ©Ichi Yukishiro/MAG Garden
※本ブログへ記載した画像は、『骨ドラゴンのマナ娘』①~②巻より抜粋し、引用させて頂きました。