担当編集に訊く、コミックガーデン作品のウラガワ!MAGCOMI出張編

 

 

2023年1月号の月刊コミックガーデンで特集した「担当編集に訊く、月刊コミックガーデン作品のウラガワ!」好評につきボリュームアップして、マグコミに出張掲載!
計6回にわたってお届けします!マグコミ連載作品のウラガワ、ぜひご堪能下さい!

第1回目のインタビュー作品は
『行ったつもりごはん』(著:アユタミシン)
『スケッチブック』(著:小箱とたん)
『転生幼女はあきらめない』(原作:カヤ「転生幼女はあきらめない」(一二三書房刊)/漫画:岬下部せすな/キャラクター原案:藻)
『-ヒトガタナ-』(著:オニグンソウ)
『骨ドラゴンのマナ娘』(著:雪白いち)
『リィンカーネーションの花弁』(著:小西幹久)
です!

 

『行ったつもりごはん』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第1巻です!
今年の1月14日に1巻が発売したばかり…というのもありますが(笑)。
お取り寄せ要素をどうやったら出せるか、アユタさんと頭を悩ませた結果、「段ボール」が欠かせないと結論付けました。そこにアユタさんのプロップ力を存分に生かしていただき、段ボールを開けるときのワクワク感が伝わるように、俯瞰構図で物が溢れた、現在のイラストに仕上げていただきました。そして脇を固める各観光地の小物にはアユタさんの遊びゴコロがめちゃくちゃ詰まってます!ぜひ注目してみてくださいね!

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:3話で初もんじゃを食すナツメが本当に美味しそうに食べるところです! ヤマキが「本当美味しそうに食うよな お前」と言っちゃうのにも思わず頷いちゃいました。
実は、本作は別の編集から引き継いだ作品です。引き継ぎ直後にアユタさんと初めてご飯に行ったのが、もんじゃ焼きの取材でした。珍しい「いか墨もんじゃ」も、漫画どおりリゾットみたいでめっちゃ美味しかったです!
ちなみにこの3話は1月14日に発売した1巻に収録されているのでぜひご購読してください!(強引な宣伝)

 

『スケッチブック』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:メディアミックスを含む作品の足跡に触れるという意味で第11巻。アニメ『スケッチブック 〜full color's〜』にアニメオリジナルキャラクターとして登場した根岸みなもさんが志免鉱業所跡をバックに描かれているイラストです。アニメ発のみなもさんが原作に逆輸入登場した時も驚かされたのですが、アニメ放送から7年以上を経て「ついに、あの謎の少女がカバーイラストか…」としみじみしたものです。ちなみに本作、マンガ自体は途中からデジタル作画に移行しているのですが、コミックスのカラーイラスト(カバー・扉・目次)は雰囲気が変わらないようにと最後までアナログ(紙)です。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:小箱先生も一度お話していますが、『スケッチブック』は「4コママンガを描いてみませんか? 例えば『〇〇(他作品)』のようなイメージで」という編集部の雑極まりない相談から立ち上がった作品です。例に上げた「〇〇(他作品)」を小箱先生が後にも先にもまったく読んでいなかったことを担当編集が知ったのは、連載が始まってから数年後のこと。唖然とする担当編集に小箱先生は「ひっぱられてしまうと良くないと思ったので」と仰ってくれたと記憶していますが、それが至極賢明なご判断であったことは作品が証明している通りです。

 

『転生幼女はあきらめない』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第1巻です! 本作は毎巻のカバーイラストの印象が被らないように、意図的に描き分けてもらっています。(空の色や場所などで前の巻と雰囲気がかぶらないようにしています)ただ最新話までリアはほぼ生家にいないので実はオールバンス邸のカラーイラストは貴重です(笑)。最新第5巻の色味は珍しく岬下部先生から事前にイメージ画像を共有いただいて進めました。第5巻は「旅立ち」がテーマですねと打ち合わせで会話していた記憶がありますが、テーマを一目で感じさせるイラストが届いて感動しました。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:第3巻の帯のキャッチ、「幼女ぴかぴか大発見!」です。キャッチは「かわいらしさ」と「わくわく感」を重視して作成しているのですが、第3巻は本編の内容ともわかりやすく掛け合わせたキャッチをつくることができたのでお気に入りです。(帯のベースは原作を参考にしています。原作のカヤ先生と一二三書房さんには頭が上がりません。)いつも素敵なカバーイラストに仕上げてもらっているので、負けないようなワードをうなりながら考えています。帯のキャッチのオノマトペ、そろそろネタ切れです。

 

『-ヒトガタナ-』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第11巻です。宿命、因縁…全てに決着をつけられたわけではないが、少なくとも一番大切な存在を守ることが出来た…満面ではないけれども確かに微笑む主人公・十種! そんな微笑みに親心を刺激されまくった担当編集は、十種の一番大切な存在…ヒロイン・羽々斬と幸せになって欲しい!という願いを込め、帯に羽々斬の顔を大きく載せるという暴挙に出ました。反省も後悔もしていません。
ちなみに本作のカバーは毎回特色版にメタリックを使用していて、本巻は銀でした。普通に刷ると、肌が無機質な感じになります。10巻までは作品性もありそれが狙いでしたが、先生と相談しながら出来る限り人間味を持たせる色を模索しました。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:歴代担当編集から引き継ぎ、偉大な作品の集大成である最終巻を任され「こりゃ下手なモン作れねぇ...」とガクブルしておりました(いや、どの作品も全力で取り組んでおりますけれども!)。
「キャッチ」って担当編集の腕の見せ所で、作品をより良く光らせる仕掛け…ある意味担当作品との戦いだったりするわけです。そんな戦いに放り込まれた担当編集なんですが、本作を読めば読むほど印象的な台詞の多さに戦意を喪失、完全敗北した結果帯のキャッチ(Q1の書影参考)に台詞を使うに至ります。後悔はないですが、反省はしています。

一番の推し台詞は、当初からのテーマの一つでもあるこれ。カッコ良過ぎです!

 

『骨ドラゴンのマナ娘』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:基本的にはコミックスのカバーイラストは、甲乙つけがたくどれもおすすめですが、特に挙げるとしたら第3巻のカバーイラストです。巨大な満月と夜空を背景に主人公の少女イブと骨ドラゴンのネムが舞う躍動感あふれるイラストで、色彩のコントラストと、タイトルロゴに透けたネムの翼のシルエットがとても印象的な所が気に入ってます。また、骨ドラのコミックスカバーは折り返しまで含めて横長の一枚絵のイラストになっているので、コミックスをお持ちの方はぜひカバーを外して眺めてみてもらえれば…! 

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:雪白いち先生は可愛らしい作風が魅力的ですが、打ち合わせ中にふと怪獣映画が大好きで某狩りゲーの熱心なプレイヤーだと伺い、何とかその相反する要素を作品に投入できないか模索してもらった結果本作が生まれました。印象に残っているセリフというか、本作品はテンポ良く展開される会話のキャッチボールの小気味よさが魅力の一つだと思いますので、そこを楽しんでもらえれば!セリフで一番印象に残っているのを挙げるとすれば、作品のキャッチフレーズにもなっている「必要なのは人脈金銭健康だ」というネムのセリフです。金言だと思います! 

 

『リィンカーネーションの花弁』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:この作品のカバーイラストは各巻1キャラクターなので、どれかを選ぶというのは非常に難しいのですが、特に印象に残っているのは第9巻(柳生)です。小西先生がいろいろな瞳の柳生を描いてくださって、どれが柳生らしく、そしてどういう印象を与えられるかの打ち合わせを重ねました。結果、全く違う瞳の柳生が通常版と初回限定版で採用されることになりました。通常版は比較的柳生のイメージに沿うバージョン、限定版は少しダークで眼帯なし。見比べていただくとベースのイラストは同じですが、瞳で本の印象がだいぶ変わっていると思います。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:長期連載になっておりますし、セリフは読者の皆様それぞれにお任せするとして。コミックス第16巻の帯で「第2次偉人大戦」という言葉を使っているのですが、この「第2次」は作中にはまったく出てこない編集側の造語です。後日小西先生が、「ああいう言葉を選ぶんですね」というようなことを仰って、そこから「作品における正しい用語」と「興味を持っていただくための言葉」について先生とワイワイアレコレ話をしたことが印象に残っています。

 

作品作りのウラガワで活躍する編集者のウラ話はいかがでしたか?

次回は2月20日更新、お楽しみに!


【下記タイトルから 第1話が読めます!】
『行ったつもりごはん』
『スケッチブック』
『転生幼女はあきらめない』
『ヒトガタナ』
『骨ドラゴンのマナ娘』
『リィンカーネーションの花弁』