担当編集に訊く、コミックガーデン作品のウラガワ!MAGCOMI出張編 第5回

 

2023年1月号の月刊コミックガーデンで特集した「担当編集に訊く、月刊コミックガーデン作品のウラガワ!」好評につきボリュームアップして、マグコミに出張掲載!
計6回にわたってお届けします!マグコミ連載作品のウラガワ、ぜひご堪能下さい!

第5回目のインタビュー作品は
『神話裁判』(著:小木とまい)
『転生貴族の異世界冒険録』(原作:夜州(「転生貴族の異世界冒険録 〜自重を知らない神々の使徒〜」一二三書房刊)/漫画:nini/キャラクター原案:藻)
『はめつのおうこく』(著:yoruhashi)
『PEACE MAKER 鐵』(著:黒乃奈々絵)
『ふることふひと』(著:風越洞×壱村仁)
『魔導具師ダリヤはうつむかない ~Dahliya Wilts No More~』(漫画:住川 惠/原作:甘岸久弥(「魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~」MFブックス刊)/キャラクター原案:景)
『レイン』(漫画:住川惠/原作:吉野匠(「レイン」アルファポリス刊)
『煉獄に笑う』(著:唐々煙)


です!

 

『神話裁判』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第1巻です! ラフの段階から小木とまい先生と「トーリ(主人公)ってキメ顔しないのでは…?」「いや表紙撮影という仕事ならするんじゃ…!?」と話し合い、バチバチにイケメンなトーリを描いていただきました。ドタバタコメディ感を出すため、天秤にミニキャラを乗せてくださったんですが、ケベスちゃんの溢れんばかりのボディがとっても可愛いんですよね。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:セリフだと1つに絞りきれなかったので、裏話を。
第1話ラストでケルベロスが巨大化する展開は「夫のヘラクレスが亡くなってハデスは無罪なんて、奥さんのデイアネイラがかわいそう…」と先生が話されたことがきっかけでした。その後「死人が出ている事件で無罪判決をトーリに勝ち取らせるのはちょっとな…」という話になり、漫画では誰も死なない神話エピソードを取り扱うようにしています。しかし神話ってすぐ死ぬんですよね…。

 

『転生貴族の異世界冒険録』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:どれも思い入れのあるイラストではありますが、ひとつ選ぶとしたら最新第9巻(※2022年12月時点)のカバーイラストです。連載開始時から画力の高さを発揮してきた作家さんですが、そこで留まらずに毎巻カラーイラストを描くたび変化・改良を試みているのが伝わってきます。特に第9巻のイラストはnini先生のこれまでの繊細なタッチにさらにメリハリが加わり、イラストの説得力がより増したのを感じて、受け取った際は気分が高揚したのを覚えています。ちなみにそんな最新コミックス第9巻は12月14日発売です! どうぞよしなに。(※2023年5月15日時点で最新は第10巻です)

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:コミックス第1巻の「神様、このステータスはやりすぎです!!!」というキャッチ、お気づきの方もいらっしゃると思いますが……白状すると原作小説のキャッチをそのまま使用させていただきました(もちろん原作確認はとっています)。神様から与えられた破格のステータス、それに対して戸惑っているカインの様子、そこから想起される物語。多くを語らず、しかし多くのものが伝わります。最初は他に案が無いか色々考えたりしたのですが、これ以上にシンプルかつ的確に作品の雰囲気を伝えられるものが思い浮かばず、恥を忍んで使わせていただいた次第です(原作版元である一二三書房の担当編集Eさんには足を向けて寝られません)。変に差別化を図って作品の持ち味が伝わらないものにするよりは良かったと思いつつ、今でもこれに代わるキャッチが自分の中から出てこないのは悔しくもあります。精進します。

 

『はめつのおうこく』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第1巻です。主人公二人が力を合わせて困難に立ち向かっていく様を、正面からダイナミックな構図で描いています。初巻に相応しく、本作の内容を端的に表したカバーに仕上がりました。デザイナーさんの名案で羽根筆に金インクを使用し、質感が伝わってくるような良い色合いに。是非是非紙本でチェックを!

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:第1巻キャッチは今でも作品全体を示すワードになっていて、完成度が高いと考えています。また、実は第7巻34話よりノド(雑誌の綴じている部分)から絵がある部分までの距離を広げています。こうした「読みやすさ」の追求をはじめ、満足度を高める為の仕掛けは先生と相談しながら日々工夫を凝らしています。

 

『PEACE MAKER 鐵』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第14巻です。本編内容を指し示し、宗教画を思わせるイラストが心に響きます。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:回を追うごとに厳しい展開が増す本作。黒乃先生も毎回戦いながら進めて頂いています。

 

『ふることふひと』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:5&6巻でしょうか。当初は同時発売で完結を考えていたこともあり、5巻と6巻で対になるようなチーム分けにしようとしていました。
最終話までは複数のチーム分け案を作っておき、最終話のネーム完成後に今の分け方に決定しました。
初カラーのキャラばかりで、壱村さんがとても苦労して作成してくださいました。
5巻のイラスト完成時に黒髪制服組のせいで「思った以上にめっちゃ地味…」と壱村さんが遠い目をして呟いたのも忘れられません。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:1巻のオビのキャッチは縦置きで「貴方様は、/等しく/比ぶもの/不き御方。」の4行になっています。
これを、頭の一文字を左から横読みすると「不比等貴(い)」。一人でニヤニヤ作ってました。
販売用テキストや電子書籍にはないものなので、今までいただいたご意見の中では、気づかれた方はいないような。
風越洞さんと壱村さんには発売後にこっそりとお伝えしました。
笑いながら「あほだー」みたいな反応をいただきました。

 

『魔導具師ダリヤはうつむかない ~Dahliya Wilts No More~』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:やはり第1巻のカバーイラストが、原点にして最もこの作品の良さが表れていると感じます。異世界の街並み、魔法とファンタジー素材からアイテムを作り出す「魔導具師」という職業、ものづくりを純粋に楽しむダリヤ、魔導具で笑顔になる周囲の人々……お話の顔たる第1巻の表紙として、パーフェクトではないでしょうか。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:コミックガーデン2021年2月号の表紙から「暮らしに灯りを、両手にはぬくもりを――…。」です。実は雑誌表紙の担当者がイラストを見て考えてくれたコピーなのですが、「担当編集よりエモいの書くじゃん……」と気に入っています。

 

『レイン』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第17巻です。主人公がスコップ持ってるファンタジー漫画なんてそうそう無い(全く無いとは言ってない)と思います。ちなみにこの時連載10周年で、1巻構図をセルフオマージュしようとしたのですが、剣がスコップになるのはまだしも、男性サブキャラがヒロインポジションになってしまう為、没となりました。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

 

担当:厳密には全ての巻ではないのですが「直前の巻のカバー登場人物を次の巻の口絵で登場させる」という縛りプレイをこっそりやっています。また、住川先生はパロディを描かせると本編に劣らぬ狂気(誉め言葉)を見せてくれるので、是非コミックスのカバー下を見てみて下さい!

 

『煉獄に笑う』

Q1.おすすめのコミックスのイラストは何巻ですか?

担当:第14巻です。スケジュールのない中、圧巻のイラストを仕上げて頂きました。

 

Q2.印象に残っているキャッチやセリフ、作品の裏話を教えてください。

担当:唐々煙先生史上、最長の作品となりました。最終巻は本当に時間がなかったです。

 

作品作りのウラガワで活躍する編集者のウラ話はいかがでしたか?

次回で本インタビューも最終回!更新は6月25日です。お楽しみに!


【下記タイトルから 第1話が読めます!】
『神話裁判』

『転生貴族の異世界冒険録』

『はめつのおうこく』

『PEACE MAKER 鐵』

『ふることふひと』

『魔導具師ダリヤはうつむかない ~Dahliya Wilts No More~』

『レイン』

『煉獄に笑う』