多数の個性的な動物まんがが集まった
「ワンアイデア×動物まんが賞」の結果をついに発表！
連載確約を争った賞レースはなんと大賞と
部門賞3作品が選出されるハイレベルな結果に。
大賞作品を筆頭に本賞を彩った、
動物×独創的なワンアイデアの作品を一挙紹介！
『あてうま白書』
高草木こぶ
賞金50万円＋連載確約
あらすじ
「当て馬」。それは競走馬の繁殖で必須の存在にして、生涯童貞の運命を定められたウマ。そんな当て馬として働くアカギファルコの、プロ童貞としての矜持が今明かされる――。
※この作品は月刊コミックガーデン2024年10月号にも掲載されています。
ホークマン先生
今回の漫画賞で最も存在感を放ち尖っていた作品でした。「当て馬」という題材にスポットを当て漫画に昇華しネタに落とし込み、ここまで輝かせたのは本当にすごいです。教養も身につき笑いも取る見事な漫画でした。
メカルーツ先生
導入の面白い入り方で目を引きつけられました。馬の絵もお上手、知識も得られてとても読み応えある作品でした。お得感がある漫画ですね。
『ニャンと鳴け！』
彩ヒロヤ
賞金20万円
選評
編集部
決闘というシリアスなシチュエーションに猫好きという要素を掛け合わせることで、コメディとして上手く落差が生み出せていた。活き活きとしたキャラクター、ハイテンションなセリフ回しも魅力的。少し忙しなさがあるので落ち着きどころを意識してメリハリを増すと更に良くなるだろう。作画も高水準で素晴らしい。抜け感のある引いた構図を盛り込んだり、太く勢いのあるペンを活かすために細い線で幅を出したり、より高みを目指してほしい。
ホークマン先生
猫を巡る熾烈な戦いを描いたこの作品は、絵から放出される熱さ、ネタから感じる勢いがバシバシ伝わってきて、作者さんの猫愛をとても感じ、とても面白く読めました。自身の作品もこの猫愛に負けられないと思いました、可愛いですよね猫。
メカルーツ先生
男性キャラに色気があり、勢いもよく、楽しく読ませていただきました。猫にフリルをつけてあげるデザインの心遣いも良かったです。タイトル回収も気持ちよかったです。
『胃弱な夢食い獏』
さとうきび畑
賞金20万円
選評
編集部
人の悪夢を好んで食すと謂われている空想上の動物・獏。そんな獏に「胃が弱い」というワンアイデアが巧くマッチしており、愛嬌のある魅力的なキャラクターになっていた。また、悪夢を食べることでのトラウマの解消という形だけではなく、主人公と獏の想い出によってトラウマを払拭できている点が素晴らしかった。獏との出会いがあったからこそ主人公の心情に変化を与えており、それは「胃が弱い」というアイデアが主人公との掛け合いを生み出すきっかけになっていたからこそだと感じた。
ホークマン先生
優しい絵柄に優しい設定、そして10ページというコンパクトな作品でとても気持ちよく読むことができました。健気で胃弱な獏に、夢を料理して食べさせるというのは面白い発想でした。低気圧で寝込んでる時の自分の所にも来てほしいです。
メカルーツ先生
獏や守口さんのキャラクターに背景がちゃんとあって感情移入して読めました。ちゃんとそういうところを入れてくれる漫画はいい漫画だと思います。
『幻想温泉・湯グドラシル』
kaz
賞金20万円
選評
編集部
龍などの幻獣専門の温泉という秀逸なアイデアと、確かな画力が評価されて部門賞受賞に繋がった。温泉での「あるある」ネタを上手く幻獣に合わせて描けており、気楽に楽しく読むことができる構成は素晴らしいの一言。強いて言うなら、もう少し幻獣の特徴を活かした温泉ネタや、そこに従事する1級含む従業員のおもてなし力をメリハリをつけて描けるともっとよくなるはず。
ホークマン先生
ファンタジー世界の温泉で様々なモンスターの設定や生態に合わせ接客をしていくのは読んでいてとても面白かったです。絵柄もとても奇麗で読みやすく、モンスターの表情を丁寧に描いていて良きでした。読んだ後、近くの銭湯に行きました。
メカルーツ先生
最初から最後までストレスなく一気に読めました。絵がすごく上手く、キャラクターの魅力がちゃんと出ているので、これからのキャラ作りが楽しみです。
『六畳一間の幸福論』
都瑚央
賞金10万円
あらすじ
両親に裏切られ、六畳一間で一人暮らしをすることにした主人公・逸巳は幸運を呼ぶと言われる喋る招き猫と出会い――!?
選評
編集部
招き猫の可愛らしさを余すところなく描いた作画力は素晴らしく、物語も演出の妙もありよく描けていた。だが、主人公が求める「幸せ」とは何だったのか、マロが結局生まれ変われた理由などが明確に描かれなかったのは残念。その辺りの構成やキャラクターの行動原理を今一度わかりやすく作中で描けると、より読者の心に本作の魅力を印象付けることができただろう。
ホークマン先生
下積み時代、ワンルームの格安アパートに住んでいた自分には色々と思いを馳せることができた漫画です。若者の苦労と少し不思議な猫の可愛さが生み出すドラマは個人的にかなり刺さりました。また新しい漫画、待ってます。
『白と黒のキマイラ』
山里
賞金10万円
あらすじ
感受性豊かな獣人の少女・アルマはとある任務に従事することになり…。
選評
編集部
作画はとても上手く、特に獣人のかぎ爪など細部まで精緻に描き込まれているのは素晴らしい。一方、世界観などの説明がされないまま物語が進んでいくのはわかりにくさを感じてしまったので、構成面や伝わりやすさを重視して物語を描けるとより良い作品になるだろう。次回作に期待。
メカルーツ先生
アクションの構図や、コマに何を映すかのチョイスにセンスを感じました。こういうところはどんどん光らせちゃっていってください！
賞金3万円
『DUSTY』彩ヒロヤ
編集部選評
同時応募のもう1作品と同様、非常にクオリティが高く驚かされた。西部開拓時代の要である馬が一角獣というファンタジーの存在に変わってしまうというアイデアも思い切りがあって目を引く。お話も作画もより抑揚が付けられると更に良くなるだろう。次回作が楽しみ、今後の活躍を大いに期待している。
『犬と歩けば』えふゆけい
編集部選評
犬を飼ったことがある人間なら誰しも一度は経験がある「散歩中にリードに抵抗する犬」というアイデアを物語に上手く落とし込めていた。だが、短すぎて作品の魅力を読者に伝えきれないまま終わってしまったのは残念。画力もとても高く、特に抵抗する犬の表情などはリアリティがあった。見開きなどの演出を存分に用いて、次はより長めのページで執筆した物語が読んでみたい。
『暁の狼』朝日はち
『飼われ神様の日常』あさふみ
選評
編集部
ウマにプロ童貞という存在を掛け合わせたアイデア、それを形にした画力、構成、知識量などあらゆる点で高水準であった本作が、堂々の大賞選出となった。当て馬のお仕事という一見マニアックな知識だが、プロ童貞という表現を使うことで読者に親しみを持たせた読者意識は見事。また、当て馬のお仕事描写、競馬のレースの迫力などから深いウマ愛、競馬愛を感じられたのも高評価だった。持ち前の知識や表現力を活かした連載作品が生まれることを期待している。