月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2019年1月期

2019年1月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第37回募集、奨励賞1作品・努力賞2作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(1月31日締切分)

完成原稿部門:奨励賞賞金3万円

『フェンスを超えて』

『フェンスを超えて』

三田もにか(24)

あらすじ

周囲に取り残されている女子高生。名前も知らない大学生のお兄さん。二人の秘密の繋がりは、校舎を区切るフェンス越しのキス――。

作品講評

可愛らしい絵柄や、日常の隙間にあるロマンティックな逢瀬など、少女漫画としての魅力を湛えた作品。特にキスシーンはどきりとするほどフェティッシュで、編集部でも支持が高かった。一方、ドラマの練り込みや見せ場に至るまでの唐突さなどは、まだまだ伸び代がある部分。少女漫画であればさらりと流せてしまう箇所も、ジャンルが違えば陥穴ともなりうる。このままガールズコミック路線を突き詰めていく道もあるだろうが、編集部としてはさらに広いジャンルにも目を向けつつ、自身の得意とする分野・部分以外での成長も期待したい。

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『バカなりに』

『バカなりに』

瀬ボン(20)

あらすじ

落ちこぼれ女子校生の安藤は、おなじく劣等生でもヘラヘラしている柊のことを嫌ってあがき始める。

作品講評

作画に関して選考会では高い評価を得ていた。特に表情がよく描けており、今後の伸びしろが楽しみである。しかし短めの16Pなこともあり、内容や構成として物足りなさが目立ってしまった。主人公が最後にライバルにかますシーンを、いかに爽快感がある作りにするかが今後の課題になるだろうし、その場合は一度ページ数に縛られずに描いてみてほしい。また次の作品では題材選びから作り込むとさらによくなるだろう。

『空蝉とかくれんぼ』

『空蝉とかくれんぼ』

石川紗織(26)

あらすじ

人と鬼が共存して暮らす島・鬼ヶ島では鬼に人身御供をすることで、平和が成り立っていたが…?

作品講評

企画としての取捨選択はよく、出だしの滑り出しはよかったものの、エンタメとしての驚きの仕掛けを意識しすぎて作中のキャラを無理やり動かしてしまった印象。主人公が鬼に帰着する理由がもう一つ見えず、かくれんぼがその補完ではなかったので分離して見えたなど、もろもろ不自然さが目立ってしまった。表情に挑戦したり、背景や鬼の描写はよく描けていたりしたが、人物の作画に不安を感じる。意欲作であることを鑑み、今後に期待したい。

最終選考作品

『battle』(完成原稿部門)

和泉のの(21)

総評

奨励賞1作品・努力賞2作品選出。
荒削りではあるが、先の楽しみな作品が散見された今回。

奨励賞の『フェンスを超えて』は、良い表情が描けており、非常にトキメキ度の高い作品。恋の障害をフェンスに見立てて、大人への憧れ、背伸び、背徳・焦燥感、思春期を経て大人になる過程、等々を詰め込み、たどたどしくも「こういうシチュエーション良いよね」という勢いで土俵際まで寄り切られた感があった。ただ、この方向性は尖鋭化していきつつも、ドラマを練る部分においては修練が必要。少女漫画という枠内に収まらない作劇を追求して欲しい。

努力賞の『バカなりに』はチャレンジングな作品。ページ数によるところが大きいが、基本的に会話劇でしかないので、顔芸でどれだけ緩急を出せるかが勝負の分かれ目…という点においては一定の評価は得られた。しかし逆算すると、この表情ありきとも考えられる構成なのはマイナス。今後、ネームの練り込みの際は気を付けていきたいところ。同賞『空蝉とかくれんぼ』は丁寧な作画とキャッチーな導入が目を引いた。ところが、そこから想像する展開にはならず、期待を裏切るような印象になってしまった。要素の一つ一つは決して悪くはないのだが、つぎはぎにしかなっておらず、相乗効果を生み出すに至っていないのが残念。何をメインで魅せるのか、しっかり軸を設定してネームに取り組もう。

今後も自身の「魅せたいもの」を追求した作品の投稿をお待ちしております。

2月末〆切の発表は
2019年3月31日!