月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2020年4月期

2020年4月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第52回募集、努力賞2作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(4月30日締切分)

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『枯谷和白は忍者先生』

『枯谷和白は忍者先生』

村田新作(20)

あらすじ

忍の修行の一環としてとある高校に教師として赴任した枯谷和白。そんな中、彼が受け持つ問題児が不良グループに目をつけられてしまい…。

作品講評

高校教師の正体が実は忍者だった…という部分が軸になるアクションストーリー。作画は魅力的で伸び代を感じるが、アクションシーンは「何をしている絵なのか」という部分がもう少し分かりやすくなると良い。キャラクターのデザインも工夫が必要。主人公は教師としての人間性というよりも、仕事感が強く、魅力が弱くなっている。構成面では、情報をただ公開している形になっており頭に入ってこないので、ネームはシーンごとの意味をしっかり意識して練ってほしい。長所を伸ばし、課題と向き合ってもらいたい。

『メグと深海』

『メグと深海』

瑞本セン(26)

あらすじ

サメの亜人・メグとその相方である深海は、新進気鋭のお笑いコンビ。新人グランプリ優勝を目指し日夜奮戦していたが、ある日メグがスキャンダルを起こしてしまい…。

作品講評

異色の漫才コンビを主役に据えたコメディ漫画で、題材の切り口が面白かった。勢いとテンポがあり読みやすいものの、感情の機微や物語の流れにちぐはぐ感がある。ストーリー面では亜人という問題に対して物語が寄りすぎており、漫才コンビとしてのドラマ性が薄くなってしまっている。お笑いは抽象表現で描写しづらく、説得力を持たせるための技術力がもう少し欲しい。絵の印象が弱いので他に何か武器が欲しいが、自身のどこを伸ばしていくかはよく考えてもらいたい。

最終選考作品

『フライング・ラブ・スペース』(完成原稿部門)

人間はじめ(27)

総評

努力賞2作品選出。
芽吹く春に相応しく、今後の成長に期待できる作品が集まった。

『枯谷和白は忍者先生』はキャラクターの表情が魅力的で、ストーリーも手堅くまとめた点が評価された。しかし、ストーリーをまとめるのに終始するあまり、主人公の意志が弱く感じられてしまうのはとても惜しい。巻き込まれタイプの受動的なキャラだからこそ、いかに序盤で能動的な想いを内に秘めているを見せていくことが鍵だろう。
同じく努力賞の『メグと深海』は、サメの亜人のビジュアルを振り切ってリアリティ寄りに描き、お笑いのネタもしっかりサメネタを抑え、そのこだわりが評価された。一方で、著者の中で作品世界での亜人の扱いが曖昧なままゆえ、コンビのドラマに振り切れなかったような印象を受ける。「そのキャラならでは」の部分を出すには、いかに周囲の人々を描き、その違いを浮き彫りにするかが肝になる。キャラを描きあげるためにも、キャラ以外にも気を配ろう。

描くべきことをしっかり描いているはずなのに、今ひとつ作品が煮え切らないということは、どんな作家でも一度は経験したことがあるはず。そんなときはキャラが息づく世界を広く見渡し、まだ深く掘り下げていない部分を探し出そう。作品を生き生きとさせる鉱脈が眠っているはずだ。

今後もキャラの魅力が炸裂した力作をお待ちしております。

5月末〆切の発表は
2020年6月30日!