2021年2月期
第62回募集、佳作1作品・奨励賞1作品・努力賞3作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(2月28日締切分)
賞金10万円
受賞作掲載
『Ideal』
Marku
あらすじ
ある町に住む大商人の息子に仕える奴隷であるアイファは、理不尽な扱いを受ける日々に嫌気がさしていた。彼はある日、町に恵みを与える存在といわれる〝フルーグル〟と出会い…。
作品講評
予想だにしない展開を繰り広げる物語に、背景やキャラクターなどを描く圧倒的な画力が合わさり高評価を得た作品。しかし、物語上の設定にやや詰めの甘さを感じる部分があった。読者が違和感を感じ立ち止まってしまうような部分があると、せっかくの演出も薄れてしまうので細かい部分まで意識して描いてみてほしい。また、テーマが尖っており読者層が絞られてしまう印象を受けたため、作者が描きたいものと読者が求めているものの摺り合わせがなされた次回作に期待。
賞金3万円
+特別賞1万円
『僕と探偵』
蓮美かい(36)
あらすじ
幼い風貌をした不思議な女性・二階堂が営む探偵事務所で、アルバイトに雇われた男子高校生の一瀬。浮気調査等を手伝う中、奇妙な事件まで絡んできて…??
作品講評
キャッチーで愛らしい絵柄と丁寧な作画が評価を集めた本作。キャラクターも一目で目を引き、この二人がどんな物語を繰り出すのかワクワクできた。しかし物語の構成面において、何が主軸のストーリーなのかが一貫して分かりづらく読者を置き去りにしてしまってる。今後は物語の中でテーマとなる核の部分を据え、1つのテーマに絞って物語を構成してみてはいかがだろうか。次回作ではより読者に物語のテーマが伝わるようなエンタメ性が強調された作品を期待したい。
賞金1万円
『働かせたい竹田さんと働きたくない山田さん』
朝野茶柱(25)
あらすじ
仕事はできるけれど、どうしても今以上働きたくないアルバイトの山田さん。社長の竹田さんは、そんな山田さんにシフトを増やしてもらおうと相談するが…。
作品講評
終始流れる和やかな雰囲気に魅力が感じられた作品。しかし物語に大きな山場がなく淡々と話が進んでしまったため、終盤にかけての新鮮さが薄かった。素朴な設定でも、展開に意外感や見せ場を作ることができるようになると、読者を楽しませられるようになるはず。また、今回の作品は作者自身が描きたいことのみを素直に描いている印象を受けた。描きたいテーマを用意した後に、そこからエンタメ性を意識した要素を加えていけると、より読まれる作品として昇華していけるだろう。次作に期待。
『裸の王子様』
三兎春稀(39)
あらすじ
中学校に通う良太は、借金に追われ夜逃げする家族から自立し、人と金に頼らない人生を送ると決める。身を寄せることになった祖母の家では様々な出会いがあり…。
作品講評
全体的な画力が高く細かい部分まで書き込みがされている点や、それが活かされた読みやすいコマ割りが評価された作品。その一方で、物語に含まれる要素がちらかってしまっていた印象。メインとなるテーマをしっかりと描いたうえで、そこに足す要素を取捨選択していってもらいたい。やりたいことを詰め込みすぎてしまうと、読者がおいてけぼりになってしまうため、描いている中での俯瞰的な視点を大切にして研鑽を積んでもらいたい。
『明けの翼』
佑月アウル(19)
あらすじ
伝説の白い鳥を信仰する島で暮らす、ルラと翼を持つノフェル。ある日、聖堂へ引き取られたはずのノフェルが、ルラの元に舞い戻ってきて…。
作品講評
「この絵が描きたいんだ」と伝わる構図づくりや描線の力強さが受賞に繋がった。しかし、物語を作るという点ではまだまだ課題は多い。特にキャラクターや世界観に奥行きが足らず、それゆえストーリーも都合よく展開するように感じてしまったところは非常に惜しい。ただストーリーラインに沿って描きたいように描くのではなく、マンガに登場する人物それぞれに日常の積み重ねがあり、人となりが形成されていることを意識しよう。そしてそれを読者に伝えていくよう心がけていこう。
『とある漫画家の殺人記録』(チャレンジ部門)
ゐなり(31)
『めいどいんへる』(完成原稿部門)
うまみはんなま
『また来世でよろしく 』(完成原稿部門)
米麹ぽぽ(25)
『森で探して』(完成原稿部門)
白秋
佳作1作品、奨励賞1作品、努力賞3作品選出。
2021年2月期は個性際立つ作品が多く集まった。
その中でも、一際目立っていたのが『Ideal』であった。迫力ある画面作りと恐ろしくも目が離せないネーム力で、最後まで吸い込まれるように読ませる技術は素晴らしかった。また、『僕と探偵』は探偵という普遍的なテーマを扱い、可愛らしく魅力的なキャラクターで独自の物語を紡いでいた。そんな個性と作劇が融合した作品が見事受賞。
他の作品も魅力的ではあるものの、上記の2作品と比べるとテーマや画力、キャラクターの面などで、読者の心を掴むのにはあと一歩踏み込みが足りない印象を受けた。この結果をしっかりと受け止め、自身の作品を振り返ってみて欲しい。
「月例マグコミマンガ大賞」に沢山のご応募、誠にありがとうございました。これで「月例マグコミマンガ大賞」は最後となりましたが、デビューから連載までを狙える新たな賞「月例マッグガーデンマンガ大賞」を開催しておりますので、是非こちらの賞にも奮ってご応募ください。それでは、皆様の新たな作品を心よりお待ちしております。
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