2022年1月期結果発表
第11回募集、奨励賞2作品・努力賞3作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(1月25日締切分)
賞金3万円
『魔女が咲うところ』
松田やきお
STORY
神様が棲むと云われる不思議な御山に、一人の魔女がやってきた。魔女狩りから逃れて御山で身を隠していた魔女だったが、ある日そこに迷い込んだ一人の少年と出会う。人間嫌いの魔女は少年を邪険に扱うが……。
選評
華のある画面が作れており、演出にも意識が感じられて良かった。ただ情報の継ぎ目が分かりづらく飲み込みづらいので、読者がどこまで情報を処理できているのか考えてコマを割ってみてほしい。キャラに関して、物語への没入度を上げるため少年の心情や背景はもう少し見せて上げたほうが良いだろう。作品が持つ世界観に読者を上手に導けるよう、コミュニケーションを強く意識した次作が見たい。
『ワンデイ ワンデイ』
勝見ふうたろー
STORY
進路に悩む中学生のノムちゃんは親戚の真ねーちゃんに会いに行く。青々とした海岸で無職の自由人、真から受け取ったものは…?青い海をバックに送る青春ブルー×ブルーワンデイ!
選評
14ページの短いページ数の中でもメッセージを伝えきれる高い構成力が受賞に繋がった。前作に続き、キャラが生きていると思わせられる魅せ方はとても巧みだが、今回は伝えたいメッセージをセリフで投げかけて終わっているため、説教感が強く出てしまっていた。狙いは良いので、イベントを織り交ぜながらキャラのセリフだけでなく行動や展開でもメッセージを伝えられると、より良い作品になるだろう。今後に期待。
賞金1万円
『ピュア99.9%~お兄ちゃんは反抗期~』
山中萌太郎
STORY
絶賛反抗期の兄・マーくん。母親をネズミ呼ばわりしたら本当にネズミになっていて…!? 実は妹のイタズラなのだが、ピュアな兄は信じて疑わない。エスカレートする妹の嘘をひたすら信じ続けるマーくんですが…。
選評
短編コメディとして小気味よく、ネタの転がし方は秀逸。悪ぶりつつピュアな兄と、それを無表情でイジる妹のキャラクターが光る良作だった。最初のネタであるネズミの振りがやや強引に見えたのが惜しいのと、あとは何より絵。人物、背景ともに何段階かレベルアップできると、お話の良さが更に活きるはず。今度はもう少し長いページで、題材の新規性にもこだわった作品に挑戦してみてほしい。
『ケチャップ』
ゴンザレス吉沢
STORY
売れない小説家のロバートは小説を書くことに行き詰まりを感じていた。そんな彼の元に小説家志望の学生・アレックスが研究室に教えを請いに押しかけてくる。邪険に扱うロバートだったが、それでもめげないアレックスと関わるうちに、かつての旧友のことを思い出し…。
選評
安定感のある画力、空気感を切り取るカメラワークが評価され受賞に至った。一方ストーリー面では演出意識が先行しているためか、キャラの言動原理の繋がりが見えず、疑問に残る展開が多々あった。まずは著者自身の中でキャラが「なぜそう思うのか・なぜそうするのか」をしっかり掘り下げ、ストーリーに組み込んで欲しい。
『時空のオッサン』
utu
STORY
過去に戻せる力をもつ「時空のおっさん」によって、十年前にタイムスリップした主人公は、最期を看取る事が出来なかった父と再会する…。
選評
まだ粗削りではあるが、その場の空気感が伝わるような見事なシーンが描けており、スッキリとした画面作りは見やすく好評。しかし、線にメリハリがないのでペンタッチの練習は欠かさず行っていって欲しい。また、物語面ではタイムスリップさせる力以外に時空のおっさんである必要性が基本ないので、もっと物語と絡ませて欲しかった。親子の確執もあまり描かれていないのでカタルシスも弱い。今後しっかりと設定、キャラ同士のドラマを意識した物語作りをしていって欲しい。今後の活躍に大いに期待している。
最終選考作品
完成原稿部門
- 『アネモス』丸電ヱリ
- 『呼んじゃう政宗』初夏204