月例マッグガーデンマンガ大賞・結果発表 2022年5月期

月例マッグガーデンマンガ大賞

2022年5月期結果発表

第15回募集、入選1作品・期待賞2作品・奨励賞1作品・努力賞1作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(5月25日締切分)

完成原稿部門:入選 賞金30万円 受賞作掲載 + 読切1作分掲載権獲得

『桜色回虫遊撃部隊』

『桜色回虫遊撃部隊』

watanao

STORY

太古の地球に不時着した2匹の回虫Ωとα。Ωは地球の生命のためにαと共に自害を選ぼうとするが、αは生物に寄生してでも自由に生きようとする。αの蛮行を止めるため、Ωもまた生物に寄生することを選び…。

選評

SFらしい大胆な飛躍が織り込まれたエンタメ性の高さと、著者の独自性が光った本作。キャラが回虫でありながらも、感情表現が巧みに出来ている点も高評価に繋がった。一方、哲学的なテーマであるがゆえにΩとαの決着に難解さは拭えず、読後にマイナスな印象も残ってしまった。画面のメリハリを作ろうとする意識は評価できるが、絵が荒い点にはまだ課題が残る。次回は画面の細部にも気を配った作品に期待する。

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月刊コミックガーデン2022年8月号に掲載!

完成原稿部門:期待賞 賞金5万円 受賞作掲載

『お姉ちゃんと一緒』

『お姉ちゃんと一緒』

コノモトケント

STORY

人間を自我がない化け物”喰威”へと変貌させる病が流行りだし早10年。その中でただ1人、自我を失わず姉として弟を守り続けようとする喰威がいた。

選評

"喰威"という異形の怪物の造形の完成度が非常に高く、シーンの惹きや見せ場の意識など、漫画作りの基礎をきちんととらえている。反面、"喰威"の設定や扱いが曖昧になっており、登場人物に関してもこれといった特徴がない。その登場人物の心情やエピソードを入れるなど、キャラクターを立たせるシーン作りが必要。また、全体的に話のスピード感が緩く進展がないため、手前で終わってしまった感が否めない。作品全体の方向性と終着点を定め、独自の世界観を生かせる物語作りを心掛けて欲しい。

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『雨上がりのグール』

『雨上がりのグール』

watanao

STORY

高校時代の友人・茜と久しぶりに再会した奈江。どうやら茜は、奈江の弟に起こった"異変"について何か知っているようで…?

選評

一つ一つの展開にフックがあり、読ませるネームに評価を得た本作。構図選びにも光るものがあり、不気味さを漂わせる雰囲気作りが良く出来ていたことも好印象だった。一方で、謎の秘匿・開示で演出することを意識するあまり、状況や時系列が理解できない場面が散見され、結果的にわかりにくさを感じてしまう面もあった。また、全体を通して淡々と物語が進行していくため、主人公格のキャラの印象が強く残らないのも惜しいポイント。ぜひ次作ではキャラの見せ方を丁寧に考えて欲しい。

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完成原稿部門:奨励賞 賞金3万円

『花散里乙女心中』

『花散里乙女心中』

酒野さかな

STORY

閉鎖的な山村に暮らす女子高生の美襧子は、幼馴染の沙世子へ恋心をひそかに募らせていた。ある日、村の豊穣の生贄に沙世子が選ばれて………。

選評

シンプルな話の組み立て方と、作品の仕上がりの丁寧さが本作の高評価を支えた。一方で作品の核となるべき見どころと、物語を動かす舞台などの設定が読み手の期待する読み味と乖離していたため評価が伸び悩んだ。また本作は人間ドラマが見どころだが、主人公の独白のような形で物語が進んでしまいキャラクター同士の掛け合いが少ないため、登場人物の関係性の明かし方は後付けのように見えていた。今後は描きたいもののみで作品を描きあげる前に、期待されている展開や設定、構成の見直しを行って欲しい。

完成原稿部門:努力賞 賞金1万円

『出産前夜決死戦』

『出産前夜決死戦』

藤平衛

STORY

抜け忍の仁と風花は、それぞれ敵対しあう2つの里の出身であった。しかし互いに一目惚れした2人は里を抜け夫婦となる。里からの刺客をかわす日々をおくっていた2人だったが、その最中で風花が妊娠する。襲い来る敵の中、2人は無事に子どもを産めるのか…!?

選評

抜け忍の夫婦が追手から逃れ、出産を目指し敵と戦うという発想が良かった。コマ割も読みやすく考えられており構図・演出にも工夫が見られた。一方でオチとしては収まるところに収まってしまった印象。コメディ描写もストーリーのシリアス具合とバランスが取れていないようにも見える。物語の一見しての魅力や説得力といった部分に作用するので、人物の画力はとにかくもっと欲しい。

6月25日〆切の発表は
2022年8月5日!