2024年3月期結果発表
第37回募集、奨励賞5作品・努力賞2作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(3月25日締切分)
賞金3万円
『雪かきでラブロマンスは成立するのか?』
遊佐いつか
STORY
幼馴染の潤と蛍はいつも喧嘩ばかり。だが、実は二人とも素直になれないだけ、ただの両片思いで…。
選評
素直になれない二人を可愛らしく描いており、ラブコメとして楽しく読めた点が評価された。 ただ、タイトルで期待させた雪かきの要素が、作品の中で上手く消化されなかった点は惜しい。雪かき要素が無くても成立する内容だったため、結果としてよく見るラブコメの域を出ず、独自性が弱くなっていた。 また物語を通して二人の関係が大きく変わらず、同じことの繰り返しになっていた点も気になった。例えばどちらかが告白するところまで見せるなど、もうひと展開あると良かった。読者が期待するものは何かを意識しながら構成を考えてみてほしい。
『夜の目が届かぬ場所』
松尾暢子
STORY
高校生の菊地は生来、死の病にかかった人に取り付く「光る蛾」を見ることができた。 ある放課後、友人の竹見と帰宅していると、彼に取り付いた光る蛾が見えてしまい…。
選評
キャラクターだけでなく背景や小物・他の生物などを丁寧に描き切る高い画力が評価を集めた本作。 一方で、作品独自の設定や情報がセリフだけで語られるため、全体的に説明的な印象を受けた点は惜しい。作品の世界観やテーマをエピソードとして描写する力や情報を整理整頓して開示していく力を磨いていって欲しい。 高い画力と描写力を活かした次作に期待。
『ジョニー先生の大予言』
はるお
STORY
家を追い出されふらふらと生きるまこは、ある日共通の予言を信じている青年のポチに告白され…?
選評
ひとつのテーマに対して一貫性を持った場面作りが出来ていた事が評価に繋がった本作。丁寧な心理描写と、状況にマッチした演出力に光るものを感じた。ただ、題材や設定に新鮮味があまり感じられずオリジナリティに欠ける印象がある。折角の良質なストーリーも読んでもらえなければ伝わらないので、次作ではパッと見た時に読者が作品を読んでみたいと思うようなヒキのある題材作りを意識して欲しい。
『星神』
るな
STORY
とある神社の守り神・星神は、過去のトラウマから自分が神様であることに自信を失いかけていた。 ある日神社の神主が亡くなり、その孫である小夜が星神にお願い事をするが…?
選評
キャラクターや背景の描き込みが丁寧でリアリティを感じる絵作りが高評価に繋がった。 一方で、ストーリーに関しては説明不足な点が多く物語に入り込みづらかったのが惜しい。キャラクターの関係性の説明不足や、何をすれば問題が解決するのかの提示が曖昧な為、感情移入が難しくなっていたように感じる。より読者とキャラクターの目線がリンクできるよう、必要な情報の整理を強化していって欲しい。次作に期待。
『迷える吸血鬼』
美澄 零
STORY
弱点を克服した〝今時の吸血鬼〟のネオは、天敵である聖職者の血を飲むことで、更に進化できると信じている。今日も彼は聖職者であるカーヴィアから血を貰おうと、彼女のいる教会へと足を運ぶ。
選評
血を吸うことに合意を求める"今時の吸血鬼〟という、個性溢れたネオのキャラクターが高く評価された。しかし、ネオのキャラクターの個性や設定が物語内であまり活かされておらず、設定の必要性が感じられなかった。次回作では話にキャラクターを合わせるのではなく、キャラクターの個性を最大限活かせるような話作りを意識してほしい。
賞金1万円
『ECO☆LAND』
宗十郎
STORY
『ECO☆LAND』というリサイクルショップで働くことになった真田葵18歳。しかし、このお店を訪れるお客は一筋縄ではいかないようで…!?
選評
異世界から訪れるお客の品を買い取るお店という設定に奇抜さがあった。今作の設定は、主人公のリアクションを引き出せる要素として期待が持てた一方で、物語は主人公の悩みの払拭という自己を中心とした展開になってしまっていた。そのため、主人公は異世界からのお客との掛け合いより、自己との対話を優先してしまっており、その魅力的な設定を活かしきれていない点が浮き彫りになってしまった。舞台や設定をフル活用し、それを軸にキャラクターを動かせると作品の強みとなるだろう。
『水底』
夏川凉
STORY
大学受験を控えクラス中が浮ついた空気の中、人知れず勉学に励む少年・中川は模試で1位を獲得する。けれどそのことについて注目、そして評価されないことに中川は不満を覚えていた。自身のこういった性格を良くないものと感じつつ引き続き努力を続けるも、しかし中川は9月の模試で2位になってしまい……。
選評
多感な時期ゆえの、ままならない感情を描いた作品。画力は拙い部分があるものの構図や演出、丁寧な描き込みに熱を感じて良かった。構成はまだ詰める余地があり、イマジナリーフレンドによる物語への影響が少ないことや、物語上の問題に対しての解決が無いまま終わってしまったのはもったいなかった。次作では起伏と変化を意識してほしい。
最終選考作品
完成原稿部門
- 『ココロのままに君が欲しい』つなし 翔
- 『背伸びしたい夏』西村 狐