2024年10月期結果発表
第44回募集、佳作2作品・期待賞1作品・奨励賞2作品・努力賞3作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(10月25日締切分)
賞金10万円
受賞作掲載
『真夏の蝶』
横たくみ
STORY
“普通”に違和感を抱く女子高生・時葉。自身の進路や恋人への接し方で揺れ動く中、一人の彫師との出会いが少女の価値観を変えるきっかけとなる――。
選評
10代の多感な時期である少女の心情の機微を、丁寧に描写されていた点が評価された本作。理想と現実の間で揺れる時葉の葛藤がリアルに描かれており、等身大な心理描写が作品の雰囲気づくりに一役買っていた。一方で作画に関しては繊細に描写していた前半に比べ、後半に行くにつれて画面の白さが目立ち没入感が薄れたことは惜しい。特に見せ場のシーンでは画面の淡白さが目立ち、読み手が現実世界に引き戻されてしまう。次は終盤まで画面のクオリティを高く保つことを意識してみてほしい。
『竜と贖罪の同胞』
三月ももたろた
STORY
記憶喪失の青年を救ってくれたのは、「邪竜」と言われるドラゴンの少女だった――。
選評
竜と人間の異文化交流を描いた意欲作。ヴィヴィのキャラはとても可愛らしく描けているが、邪竜と言われるほどの禍々しさを感じられなかったのは残念。世界設定をもう少し練り込み、読者にわかりやすく伝えることを意識できるとより二人の関係性が映えただろう。また、全ページ手を抜くことなく作画しているのは素晴らしいが、もう少し要素を圧縮して、短くまとめた方が読みやすさが増したように思う。作画面においてはセンスを感じるコマも多かったが、ドラゴンのデザイン含めてまだまだ磨ける部分はあると思うので、今後の創意工夫に期待する。
賞金5万円
受賞作掲載
『イングヌエル・トーテンブルーメ』
しくへく
STORY
菌類が姿なき神々として根づく森で、吸血鬼として生を受けた少女・ヌエル。彼女が知る自身の生まれた意味とは___。
選評
「吸血鬼」と「キノコ」という存在を結び付け、物語として紡ぎあげた独創性とその世界観を演出する表現力が評価された本作。 作者の創作力に才能を感じる。しかし、世界観に関する情報量が多く、読み進めるための情報を読者が選ぶ必要があるので読むハードルが高い。現状、結末を読み解くために”必要そう”な情報が複数あり、話の着地点がわかりにくい。想像の余地を残す終わりを目指すのなら、読者の期待を誘導する情報を選んで欲しい。 次回は読み手に舞台設定を理解してもらう話運びを意識してみよう。
賞金3万円
『ももたろうのたわわな話』
山里
STORY
イヌ・サル・キジの3匹が出会ったのは胸がたわわな桃太郎で――⁉
選評
誰でも知ってる童話『桃太郎』が実は女性で、かつ巨乳だったら…というユニークな発想を上手く物語に落とし込めていた。ただ、短く完成度高く纏められているのは素晴らしいが、設定以上の面白さを作品から感じられず、出オチのように見えてしまうことも否めない。高い作画力もあり、キャラはとても可愛らしく描けているので、エロコメならエロコメ、そうでないならそうではないように振り切って、もっと物語で魅せることができると更に高い評価に繋がるだろう。次回作に期待。
『天使とロシアンルーレットする話』
伊勢山ハル
STORY
自ら命を絶とうとしていた湊の前に、天使を名乗る人物が現れる。天使は命の尊さを学ばせると言い、ロシアンルーレットを提案してくる――。
選評
ロシアンルーレットによって、キャラクターの過去が掘り下げられていくという物語構成が評価された本作。最後まで作画にブレがなく、仕上がりまで丁寧に書き上げられていた点も好印象だった。しかし最後は天使自らが主人公を銃殺するという、ロシアンルーレットとは違うオチに疑問を示す審査員も多かった。今後は物語を引き立てるために使用した素材を、最後まで活かした作品作りを意識してほしい。
賞金1万円
『将棋天国』
深谷慶
STORY
将棋の勝敗で全ての取り決めが行われるという幻の秘境「将棋天国」。そんな将棋天国に向かった主人公の行く末は…。
選評
将棋という題材ながら、ルールがわからずとも勢いで読ませる構成力、疾走感は素晴らしい。その反面、勢いが先行し過ぎて、キャラクターの行動原理や情熱の元がわからず、最後のどんでん返しも含めて衝撃というより困惑を読者に与えてしまうようにも見受けられた。それを回避するために、キャラクターを読者に感情移入させるということに気を付けて描けると、持ち前の読みやすさと掛け合わさって、より作品の完成度が高まるだろう。
『ホントのねっこ』
しらあき
STORY
魔力を持つ植物こと「魔植」を育成、保護する魔法植物園。そこで助手として働く少女・ミラは今日も元気にお仕事中!でも師匠に頼まれた留守番中に魔植が脱走してしまい、大ピンチに!?
選評
キャラクターや魔植のかわいい作画に評価が集まった本作。コロコロ変わる主人公の表情は終始楽しめた。しかし、お話の構成についてはレベルアップが必要。作中で軸となるような骨太なドラマがなく、複数の気になる要素があったため見どころが分散していた。大きな見せ場となるシーンが一番盛り上がるように、作品の中で伝えるべき重要な情報を取捨選択して統制しよう。次作では読者の期待する物語の着地点が一致するような、お話の運び方に意識を向けてほしい。
『リリスの庭の番人』
いざぱら
STORY
食べるだけで綺麗になれる果実。そんな噂を信じた少女の最後とは…。
選評
高い作画力と、16ページという短いページで物語がまとめられていた点が、高評価を集めた本作。一方で、この物語だけを読んでも分からないことが多かった印象。登場するキャラクターや意味深長なシーンについて丁寧な説明がなくとも、読者が考えるための足掛かりとなるような情報をちりばめてみてほしい。また、主人公のセリフに婉曲な表現が多く、キャラクターの個性が表現しきれていないように感じた。主人公の考え・行動でも狂気を見せることで、物語全体の満足感を高めていくことができるだろう。
最終選考作品
完成原稿部門
- 『雨は夏を攫ってゆく。』藤皐
- 『竜の鍵番』咲山はじめ
- 『48ページの笑顔』EDEN
- 『死ねないし』堀鳩
- 『満天の星と0点のアタシ』山内大知
- 『そういう君に無我夢中!』はるお