2025年1月期結果発表
第47回募集、期待賞1作品・奨励賞2作品・努力賞3作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(1月25日締切分)
賞金5万円
受賞作掲載
『未知なるものへの友情』
林場 琉賀
STORY
地球に不時着した訳アリの異星人はひとりぼっちの女の子に見つかり、突然友達になってと言われる。最初は渋々付き合っていながらも、次第に距離が縮まっていき…。
選評
未知の存在との友情譚として、異種間の違いを活かした掛け合いがコミカルに描かれていた本作。読み手の印象に残るユニークなセリフ回しが、キャラクターの魅力を引き出していた。しかし主軸となるストーリーに二人の掛け合いがうまく繋げられていなかったため、本来のキャラクター性がおざなりになってしまい物語の進行を目的としたような不自然な言動が散見された。次回は個性豊かな登場人物の魅力はそのままに、物語の流れに沿ったやり取りの取捨選択をしてほしい。
賞金3万円
『ホワイトアウト』
矢鳥すい
STORY
画家が夢の青空と、歌手が夢のおと音。幼い頃に語り合った夢を叶えたおと音に、画家になれなかった青空は複雑な感情を抱いていた。
選評
引き込まれるような導入や芸術的な画面づくりが高評価を受けた。一方物語について、幼馴染である二人の関係や進路の差異による思いのすれ違いが重視される作品だが、本作ではどちらも深掘りされずに終わってしまった。幼少期と今、そして成長した二人の明確な変化が描かれていないまま、悩みも解決してしまったように描かれていたのが原因だろう。次作では、物語の中心となる登場人物の関係や感情を深く掘り下げることを意識してみよう。
『ヤシガニューケーション』
温森U魚
STORY
人生の崖っぷちにいる主人公が出会ったのはヤシガニ!? 一人と一匹、奇妙な同胞探しの旅が始まる!
選評
ヤシガニという一風変わった生物との関わりを通して人間社会を風刺する本作。独特のテンポ感で紡がれるシュールな会話劇が楽しく読めた。一方、人間側の問題とヤシガニの旅が上手くかみ合っておらず、作者が物語の中でどういうメッセージを届けたいのかが分からなかった。主人公の背景描写・心理描写が不足していることも相まって、主人公が旅の終わりに唐突に前向きになるという展開に見え、納得感が薄かった。次作では作品全体を通して読み手に何を伝えたいかをしっかりと固めたうえで、プロット作り・キャラクター作りを工夫してみてほしい。
賞金1万円
『救いの末路』
星広・S・Stella
STORY
他人である男性が命を賭して庇ったことで、交通事故を逃れた少年。救われた命で生き長らえる苦悶とは――…。
選評
クラスメイトから「人殺し」と言われて向けられる視線や、大人からの一方的な言葉を受けた主人公の苦悶に満ちた表情に引き込まれた。ただ現状、主人公は周囲からどんな言葉や態度を受け、何を感じることが苦悶に結びついているかの描写が足りず、読者が共感しにくくなってしまっている。キャラクターの感情が動いた際は、そこに至るまでの経緯やその時に生じた感情を表情以外でも描写することで共感を促す物語を作って欲しい。
『となりのロリータさん』
つなし 翔
STORY
ロリータを着たインフルエンサー「ふわり」として活動する三ヶ嶋うらら。そんな彼女のイベントに、同じクラスの大原君がやってきて…?
選評
二面性で悩む主人公の気持ちを丁寧に描き、分かりやすくまとめていた点が高評価につながった本作。その一方で、男性キャラが主人公を好きになる過程に都合のよさを感じてしまった。二面性というテーマだからこそ、その両方を肯定してくれる様子をしっかり描き、二人の関係性を説得力のあるものとしてほしい。また、ロリータを活用した演出が少なく、要素を活かしきれていないように感じた。そのテーマを用いたからこその掛け合いや展開を組み込めると、オリジナリティに磨きをかけられるだろう。
『愛が重くてめんどくさいこいしちゃん』
西野海空
STORY
虚勢を張り、クラスから浮いてしまった低身長少女・こいし。彼女はクラスメイトのくらげくんに恋をしていて…。
選評
女の子の絵が可愛らしく描けていた事に評価が集まった本作。コロコロ変わる表情や仕草は見ていて飽きなかった。一方で、キャラクターを「こう見せたい」という意識が希薄に感じる。特に主人公のこいしちゃんの愛が重くてめんどくさいエピソードがあまり無く、肩透かし感があり彼女の内面の可愛さを十分に味わえなかったのは勿体ない。絵だけでなく、キャラクターの内面にも注目している読者のために、作品のコンセプトにあったエピソードやリアクション作りが出来ているかは常に意識してほしい。次作に期待。
最終選考作品
完成原稿部門
- 『セレスタイト』HIGO
- 『吸血鬼に恋をした』まつもと