2025年3月期結果発表
第49回募集、入選1作品・佳作1作品・期待賞3作品・奨励賞2作品・努力賞1作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(3月25日締切分)
※受賞作品は諸事情によりコミックガーデン本誌掲載時と変更があります。
賞金30万円
受賞作掲載
『ヒーロー・イン・ピンチ!!』
ajinori
STORY
変人に好かれやすい静は、自分を守ってくれていたヒロに好意を抱いていた。そんなヒロと2年ぶりに会うことができる。心躍らせる静が再会したのは、ずいぶん雰囲気が変わってしまったヒロで……!?
選評
本作では全体を通して丁寧な作画で描かれており、キャラクターの感情の機微も表情で丁寧に描かれている。高水準な作画が今回の入選という評価に繋がった。物語面については牽引力を感じるような展開やシーンが少なかったため、冗長に感じられてしまう場面も多い。なおかつ必要な情報の開示までのシーンが長く、間を繋ぐキャラクターの反応ありきの構成になってしまっていた。次回作では物語内に必要な展開までのシーンに、多く時間を割かないストーリー構成に期待したい。
賞金10万円
受賞作掲載
『ゆめりの夢』
ともぎ
STORY
教師として学校に勤める主人公の雪村。ある日突然彼の目の前に、教え子の姫川ゆめりが顔の無くなった状態で姿を現す――。
選評
本作品は回想シーンを効果的に差し込むことで、過去の出来事が現在の主人公の感情や考え方に影響を与えていることを印象的に表現できている。過去と現在を交錯させながら紡がれる繊細な描写は、主人公の心情の変化を鮮明に浮かび上がらせ、読者を物語へと惹き込む力があった。しかしながら、主人公のモノローグを主体に物語が進行するため、62ページという分量が長く感じられることも事実。エピソードの取捨選択や終盤に意外性のある展開を設けるなど、読者を飽きさせない工夫を心掛けてほしい。
賞金5万円
受賞作掲載
『犬猿コンフィデンス』
菅浦ケイ
STORY
とある任務の失敗を機に休職していたボディーガードの戌井。ある日、警備会社の後輩・高申が訪れ自分の相棒として要人警護を務めて欲しいと言ってきて…。
選評
画力の高さと演出力が高い評価を受けた。特に、冒頭のページを破る演出やボディーガードとして活躍する二人をカッコよく描けている点は素晴らしかった。しかし、キャラクターのバックボーンや心情の描写が乏しく、キャラクターの心情や関係の変化を掴めなかった点は惜しいところ。特に、タイトルにある「犬猿」の仲の二人が親しくなっていく過程を魅力的に描いてほしかった。次回作ではキャラクターの心理を丁寧に描写し、読者に親しまれるキャラクターを描いてくれることを期待したい。
『ベルガラティア』
しくへく
STORY
巨大ゴーレムらに踏み荒らされ、目の前で故郷を失ったロロ。復讐のため彼らの破壊方法を探すロロは、ゴーレムの少女・ベルカによって破壊が生む生死の循環を知り…――。
選評
キャラクターの想いが高まった場面での目の表情など、惹きつけるコマの演出が評価された。ゴーレムという既存の要素に自分の色を乗せ、展開させた点に独創性が光る。ただ、把握して欲しい情報を絵よりも言葉で説明しているため、漫画として読むハードルを上げてしまっている。まずはコマの大きさや数を調整するなど、基礎となる画面の構成力や画力を引き上げることで、意図する世界観を漫画で読者に明確に伝えるための技術を伸ばしてほしい。
『日陰の花ども』
とみー
STORY
中華最大の歓楽街『紅海街道』で裏社会の便利屋を営むタチバナ。彼はある日、強大なマフィアが秘密裏に経営する遊郭の潜入捜査を依頼される――。
選評
中華風の衣装の装飾や背景が細かに描写されており、作画面で評価が集まった。キャラクターに関しても表情豊かに描かれており、コメデイとシリアスなシーンのギャップが上手く表現されていた。一方で画面構成にはいくつか課題も見られる。ひとコマに入る演出やベタのコントラストが強い場面が続くため、全体を通して読みづらい画面になっていた点は惜しい。見せ場となるシーンも目立たなくなっていたため、次はあえて余白をもたせたりとメリハリを付けることも意識できるといいだろう。
賞金3万円
『虚栄の炎』
梅売り
STORY
画家のメルはエルフであるが故に仕事が見つからずにいた。そんな時、人間の貴族・ロマーノからの依頼で彼の肖像画を描くことに。徐々に仲を深める二人だが、ロマーノはある秘密を抱えているようで…?
選評
高い作画力に評価が集まった本作。表情からキャラクターの心情が伝わってくるその表現力は素晴らしい。一方で作者が作中で組み込みたい要素が多く、絞り切れていない印象。そのため、登場するひとつひとつの情報の説明や深掘りがなおざりになってしまい、読み進める中で疑問が募った。その結果、読者が世界観に没入しづらい流れになっていた。まずは自分が一番伝えたいテーマをしっかり定め、そのうえで必要な情報を取捨選択することを心掛けてほしい。
『花と埋もれる人生を』
兎木田 あかり
STORY
限られた人間のみが、天使を視認できる世界にて、あの世からこの世への手紙を届ける天使として働く男・テル。そんなある日、天使が見える少女・ざらめとテルは出会い──。
選評
ハートフルな演出に評価が集中した作品。終盤での盛り上げと感動に訴えかける演出がうまくマッチしており、光るものがある。一方で画風に関して、やや悪い意味でオールドファッションなところがあり、ブラッシュアップが課題。自己の表現したいところと読者が今何を求めているかの落とし所を見つけられれば大きく飛躍できるように思える。
賞金1万円
『流星と石拾い』
八木森千浬
STORY
炭鉱夫として働くエイデンはある日、突然空から降ってきた少女と出会う。セイと名乗るその少女は、本来国が厳重に管理下するはずの魔法使いで…?
選評
読み手の興味を引く設定を据えてファンタジーを描こうとしている点は好印象。しかしお話が急展開に感じられる部分や心情変化が唐突に見える部分など、構成面が課題。そのため序盤に提示された舞台設定をキャラクターやストーリーに活かせてなかった点は惜しい。また作画においてもキャラクターのデッサンの歪みが見え、画力不足な印象を受ける。作者の独創的な発想を最大限読者に伝えられるよう、作画・構成ともにさらなるレベルアップを図ってほしい。
最終選考作品
完成原稿部門
- 『来世の花』今井 蓬
- 『人魚釣り』咲山 はじめ
- 『タイムスリップ忍者』遊佐いつか
- 『Sorrento Mermaid Pod』Alex Viva