2025年6月期結果発表
第52回募集、佳作1作品・期待賞1作品・奨励賞1作品・努力賞2作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(6月25日締切分)
賞金10万円
受賞作掲載
『図書室の幽霊』
ちゃき
STORY
図書委員を任された一ノ瀬昴が耳にしたとある噂、それは「図書室には幽霊が出る」。半信半疑の昴だったが、自分だけに見える少女の霊に突然助けを求められ…?
選評
王道のストーリーとして丁寧に練られた追いやすい展開に加え、読み手の心を打つ魅力的なキャラクターの表情描写が佳作という評価に繋がった。キャラクターのみでなく背景の細かな描き込みは光ったが、全体的にトーンやベタが重く暗い画面が続いている。そのため後半の見せ場となるシーンが他の場面と比べて際立っておらず、印象が薄くなっている点は惜しい。丁寧な作画はそのままに、次は余白を持たせ画面にメリハリを付けることも意識できるといいだろう。今後のさらなる飛躍に期待する。
賞金5万円
受賞作掲載
『事故物件の同居人』
林場 琉賀
STORY
とある事故物件に引っ越してきたのは…幽霊が苦手な見習い霊媒師!?事故物件に住みつくヒト嫌いのひねくれ地縛霊と、超ビビりな霊媒師のドタバタ同居コメディ!!
選評
ビビりな霊媒師と人間嫌いの幽霊という尖った設定をしっかりと活かしながら、2人が繰り広げるドタバタコメディとしてお話に落とし込めていた点は見事。最初は幽霊視点でテンポの良い掛け合いが描かれていた一方、終盤の霊媒師への視点の切り替えが唐突に見える。そのためどちらのキャラクターに感情移入しながら読めばいいかが分かりづらく、二人の距離が縮まるオチへの共感が薄れてしまっていた。次は読み手の視点に立ったキャラクターの見え方も意識してみよう。
賞金3万円
『神の子羊は無限の夢を見る』
上野優子
STORY
命を奪う力を持つレオは、病を癒す力を持つ兄を羨んでいた。ある日レオは、病におかされ死に瀕した兄に、二人の力に隠された残酷な真実を告げられる――…。
選評
背景まで細かく描かれた丁寧な画面作りや高い画力が高評価を受けた本作。特に、真実を知ったレオの表情が魅力的に描けている。一方、キャラクターの心情に関する情報が少ないため、レオの行動原理が伝わりづらく、クライマックスの盛り上がりに欠ける点が惜しい。レオの葛藤や兄に対する思いを掘り下げることで、キャラクターの行動に納得感が出て、読み手がさらに作品に没入できるようになるだろう。 次作ではキャラクターの心情描写を丁寧に積み重ねながら、より読者が感情移入できるようなストーリー構成を目指してほしい。
賞金1万円
『PSYピュアリフィケーション・タッグ』
苗樹 苗
STORY
奇妙なお守りを拾ってから連日自殺する夢を見る女子高生・志弦。友達に紹介された霊能者の元に向かう志弦だったが、ついには現実でも自殺を試みるようになり…!?
選評
霊能者や呪いのアイテム、主人公の過去など作中に登場する設定がしっかりと練られていたことがうかがえた点は好感。だがそれらの設定を説明する描写が長く、その結果ページ数がかさんでしまっている。そのため読み手の印象に残る場面が少なく、ページ数に対して全体的にあっさりとした読み味になっていた点は惜しい。次は設定面だけでなくキャラクターの関係性や魅力を深掘りし、読者を飽きさせない引きとなるシーンを入れることも意識できるといいだろう。
『記憶よりも深いトコ』
ペロチョビ
STORY
ある朝、男子大学生の真名井が目覚めると、部屋に見知らぬ男がいた。彼は真名井の彼氏だと名乗り…。
選評
話の構成やコマ割りの技術が高く、すらすらと読み進められた点が高評価に繋がった本作。 しかし、後輩が何を考えているのかという作中の謎に対して、最後まで答えを提示しないまま終わるので腑に落ちない読後感となってしまった。サイコホラーというジャンルなので、中盤までに意味深なシーンや伏線を織り交ぜつつ、ラストでそれらを回収することで恐怖が最高潮に達するような展開を目指してほしい。別のテーマを扱う場合も、読む人がどんな感情をいだくのかという視点を意識して、期待に応える描写が用意できるとよいだろう。
最終選考作品
完成原稿部門
- 『Discharge』井野岡 将太
- 『継承者』上野優子