【教えて先生!!プレイバック】第14回・水上悟志先生

「マッグガーデン連載作家さんの作品作りで大切にしていることが知りたい!」
そんな声にお応えして本連載では、過去コミックガーデンに掲載されたインタビュー「教えて先生!!」を紹介いたします。

 

第14回の先生は水上悟志先生です!
(月刊コミックガーデン2017年10月号・2017年11月号掲載)

 

作家紹介

水上悟志先生

現在、MAGCOMIにて『最果てのソルテ』を連載中。
他代表作として『戦国妖狐』など多数。

 

それでは一問一答での“執筆の秘訣”、スタート!!

 

Q.商業作家デビューのきっかけはなんですか?

投稿です。2001年頃、少年画報社ヤングキングアワーズの新人賞に24pの短編で応募し、小さな賞を貰い、2002年にデビュー。担当に「毎月16pの読み切りを見せてくれ」と無茶を言われたものの、やってみたら意外と出来たので、以後、代原や増刊でなんだかんだ毎月載って、怒涛の展開に付いて行くうちになんとか身を立てることに成功しました。

 

Q.ペン入れの時に大事にしていることはありますか?

綺麗な線を引きたいと思ってますが、綺麗な線が引けたことはありません。描いてる時は、集中しすぎで短時間で疲れるのを防ぐために、ぼんやり、なんとなく描いています。絵を描くこと自体あまり得意ではないです。頭の中にあるものを説明するのに自ら描くしか方法がないため、やむを得ず絵を描いてます。

 

Q.キャラクター作りで意識している点はありますか?

最初はありません。なんとなくで作ることが多いです。ネームを作る際にキャラとの対話で明らかになっていくことが多いです。作者自身も、こいつこういう奴だったのか、とか、こんな過去があったのか、とネーム中にキャラが教えてくれて、びっくりしたりします。

 

Q.ストーリー作りで重要視している部分はありますか?

構成と結末です。適度な場面転換と時間経過で、読者の主観時間を物語の時間軸に引き込み、現実と時間帯を経験してもらえるようにと心がけています。飽きないよう、同じ場面が長く続きすぎないように。そして物語の終着を予感させるように構成したいと思ってます。終わってこその「物語」だと思います。

 

Q.ネームの際に心がけていることはありますか?

ネームは私の人生において最大の娯楽です。キャラや物語の世界との語らいが他の何より面白いです。なので心がけていることは特にありません。自宅でやる場合は、ネーム中は話しかけないように、と家族に頼むくらいです。ファミレスでやることが多いです。ただただ、没頭して、考えて、ひらめくのを楽しむだけです。無責任な閃きを、構成の技術で制御してネームに落とし込みます。

 

Q.ずばり、作品作りで一番大切にしているのは何ですか?

自分締め切り。夏休みの宿題はそもそもやらなかった私ですが、漫画の締め切りは破ったことはないどころか、掲載予定の雑誌発売日の4週間~3週間前を目安に描いています。これは手が早いわけではなくタイミングが早めにズレてるだけなんですが、決して自分を追い詰めず、どれほど余裕があっても、その余裕を使わなければいけないようなサイズの突発の仕事の依頼はどんなにおいしそうな仕事でも断ります。私は自分が「追い詰めたら逃げる人間」だと知っているので、自分の底を見ないように心がけているのです。物理的余裕を常に持ち、余裕に触れないように生きています。心の余裕はあまり無いです。

 

Q.志望者の方々へ向けて一言アドバイスをお願いします。

一言では済みません。言いたいことは山ほどあります。上達を目的に置けば、描いた本数だけが正義です。担当に没にされても次のネームを描きながら没ネームの原稿は描いてネットに上げるなどして、描く手をなるべく止めないように。忙しくて描く暇がない人は連載作家は諦めましょう。「漫画を描いてない自分」に何年も耐えられる人は連載に向いていません。あと、本当に自分は漫画家になりたいのか、真剣に自分と対話するように。プロだけが偉いわけではありません。今すぐに少しでも描けない理由が3個以上思いつく人は、外的要因で漫画家になりたいと思わされているだけかもしれません。自分を誤魔化すのだけはやってはいけません。漫画家は自営業の商売です。個人単位とは言え事業を運営する器量が要ります。編集や読者の要求に振り回されず、かつ、相手の都合も鑑みるように。商売は信用が第一です。自分の腕の安売りもぼったくりもいけません。

 

Q.独自の練習方法、役に立った練習方法があれば教えてください。

短いページの読切・投稿作を沢山描くことです。過去作のリメイクもしない。とにかく先に進むことだけ考えて描いて忘れて描いて忘れてネームを考える習慣を、原稿を描く習慣を、作品を完成させる習慣を、そしてすぐ次を始める習慣をつけることです。所詮、人の言う「努力」など一時の気の迷いにすぎません。長持ちはしません。常に5年先を見ながら長続きする習慣を身に付けましょう。人生は長距離走です。知性は理性によって輝き、情熱によって損なわれます。

 

Q.原稿中、またはアイデアを出すときのリラックス方法などはありますか?

布団で横になります。そこで目を瞑って本気で考えます。結果的に寝ちゃってもいいのです。ちゃんと真剣に考えていれば蓄積があります。考えずに寝れば無駄な時間をすごすことになるでしょう。アイデアは気が緩んだ時に出るものですが、それまでにどれだけ真剣に考えたかで、閃きが訪れるかどうかが決まります。

 

Q.影響を受けた作家、作品を教えてください。

作家なら冨樫義博先生、岩明均先生、漫画作品なら『GS美神 極楽大作戦!!』『機動警察パトレイバー』『うしおととら』『ARMS』『大日本天狗党絵詞』『もっけ』『破壊魔定光』、アニメは『魔神英雄伝ワタル』『機動戦艦ナデシコ』『スクライド』『フリクリ』『トップをねらえ2!』『天元突破グレンラガン』など、挙げるときりが無いのでこの辺で。

 

Q.漫画に限らず、志望者の方に是非見てほしい作品はありますか?

中年のおっさんとしては高橋留美子先生の短編集や、『GS美神 極楽大作戦!!』の高技術な一話完結エピソード群を若い人にも見てほしいところですが、本当に一番善いのは、あなた自身が10代の頃に感動した作品を何度も見返して、どこにどう感動したのか、分析することだと思います。技術的なことも自身の主観的な感動の中から学ぶとよく身につくと思います。人に道を尋ねるのも賢明ですが、自分にとって最も気持ちよく歩ける道は、自分にしか見つけることはできません。人に尋ねつつも、自分の原点も常に確認しましょう。

 

Q.最近おもしろかった作品があれば教えてください。

漫画ですが、小原愼司先生の『青猫について』全2巻が面白かったです。短いながらも映画のように壮大な構成かつ、漫画ならではの時間経過と場面転換によるテンポが非常に高度で芸術的でした。得意分野だと思っていた構成・演出技術に対して天狗になっていたと、我が身の怠慢を痛感しました。

 

Q.最近はまっているご趣味があれば教えてください。

スマホゲームを8ヶ月ほど遊んでいますが、今や遊んでいるというより、やらされている状態になっています。次から次と欲望を刺激され続けるというのは苦しいものです。最近ではガチャでレアキャラが当たっても最初ほどの感動はなくなりました。依存症になってしまう前に他に趣味を持ちたいです。なにこの依存症患者のセラピーみたいな告白。

 

ご回答、ありがとうございました!

 

作品紹介

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次回(12月20日更新)はながべ先生です!お楽しみに!