【MAGCOMI映画部】No.5 「弔いの作法」

こんにちは! エンタメ全般を愛する編集者Yです!

当ブログは、漫画、映画をメインにエンタメをこよなく愛する筆者が、
毎月テーマを一つ決め、テーマに沿った漫画、映画を紹介するブログとなっております!

映画部第5回のテーマですが、お盆…、本来なら家でご先祖を弔っているはずが、この情勢下なので実家に帰る事が叶わず。 恒例行事をしないと、なんとなーく申し訳ない気持ちになるんですよねー。(昨年も帰れませんでしたが…。)

弔いと一口に言っても、人それぞれ信じる宗教や考え方の違いで、人の死への向き合い方が変わってくるのではないでしょうか。弔いとは深いですね…。
という事で…

 

今月のテーマ
「弔いの作法」

 

読者の皆さまとエンタメとの架け橋に少しでもなれれば幸いです!

――では早速いってみましょう!
と、その前に( ^ω^)…

※「弔い」とは※
故人に対しての向き合い方の一つ
人の死を悼み、遺族を慰めたり、
死者の霊を慰めたりする事。
国や文化によって、その形は多岐にわたる。

 
 


 

~MAGCOMIの弔い漫画といえば~

『三千世界を弔って』!!


◎人間不在の終末世界弔い漫画◎

 

~『三千世界を弔って』あらすじ~

神様のヨミとメイドロボのミコ。二人が弔い渡る“いくつもの”終末世界はどこかへんてこ。それでも人々の営みの痕は、神とロボの前には等しく愛しいものなのです。終われぬ終わりへ、ほのぼのセンチな終末葬送紀行!

            

~どんな作品?~

所謂"終末を迎えた後の世界"で、神様(ヨミ)とロボット(ミコ)が、使命の為に、世界が終わった理由を探し、その世界の弔い方を見つけだすお話となっております。基本的には一話につき、一つの世界を二人が巡っていく形式で描かれていて、二ツ森先生が作り出す魅力的な世界の数々はもちろんの事、温かみのある絵のタッチや、漫画の醸し出す切ない雰囲気がその世界への没入感をより強くしてくれています。その没入感のおかげなのか、一話分読んだだけで2時間のドラマ映画を一本見たような読後感に襲われる恐ろしい作品です。
 

~読んだ感想は?~

皆さんは、夏休みに読書感想文を書く為に、学校の図書室で小説を読んでいるといつの間にか遅い時間になっていた経験などありませんでしょうか。まるで世界に自分一人になったかのようなあの感覚、そう、この作品はあの時に感じたとてつもないノスタルジー感をこれでもかと言う程彷彿とさせてくれます。

誰もいなくなった世界…、メイド服や装束に身を包んだ、人ではない二人の旅…、 こういった不思議な空気の雰囲気を持つ作品は、読み終えた時の満足感が通常の漫画に対して半端ないのは何故なのでしょうか?

また、終わった世界を弔った後、二人は何とも言えない表情を浮かべます。この表情を見ると、不思議と誰からも感謝の言葉をもらえなくても、誰かの為に頑張る事は意味があると思わされたりします。弔いを通して二人はどんな想いを抱いたのか、どんな意味を受け取ったのか。ぜひ本作を読んで感じてみてください…。

※余談ですが、私は星新一先生のショートショートシリーズに読みふけっていた手合いです。ショートショートシリーズが好きだった読者の皆様、絶対にハマります。

 

※『星新一のショートショート』…小説家・星新一の短編の通称。
シンプルかつ奇妙で不思議な世界観のものが多く、笑える作品からゾッとする作品まで、子供から大人までサクッと楽しめる作品群。

~孤独死した死者を弔う一人の男の映画

『おみおくりの作法』

 

◎真面目で孤独な男の信念を描いた映画

 

~『おみおくりの作法』とは?~

孤独死した人の葬儀を執り行う事を生業としてる民選員のメイ。本来ならばやらなくてもいい仕事も請け負い、弔った死者の写真を自分の作ったアルバムに保管するなど真面目な性格な彼もまた孤独だった。そんな彼がある日とある案件を請け負い…。

 

~どんな作品?~

「人を真摯に弔う事に意味があるのか」というテーマに真剣に向き合ったドラマ作品です。主人公のメイは弔い以外にこれといって生き甲斐が無く、ただ黙々と孤独死した人の葬儀を全うしていきます。特に裕福でもなく、友人も家族も恋人もいない彼の、人を弔うだけの人生は果たして幸せなのか、それとも不幸なのか。

実際に存在する仕事や人物から着想を得て作られ、非常に重たいテーマを真摯に描き第70回ヴェネツィア国際映画祭で監督賞など4部門を受賞した意欲作。

また『おみおくりの作法』という邦題ももちろんの事、『STILL LIFE』(写真、絵画などの題材の一つで、静的なイメージのある物。)という色んな解釈ができそうな原題も印象的です。

~観た感想は~

画面の構図や演出も終始手堅く、派手なドラマや大きな感情の動きも無く淡々と進んでいく印象のある映画です。しかし、メイが真摯に故人と向き合い、悪くなっていく自分の状況を顧みずひたすら弔いを続けるその姿勢にとても胸を打たれます。弔い以外に何もない彼の人生ですが、それでも幸せそうに毎日を生きる彼を見ていると、人を悼む事に強い価値を感じざる負えませんでした。

また画面の彩度を低くする事で冷たい空気感を作り、リアリティを出す手法がかっちりとハマり、よりメイの持つ暖かさが際立つよう設計されているのが素晴らしいです。ラストシーンは観る人によってはやり過ぎと思われるかもしれませんが、個人的には素敵なラストだったと感じております。

 

おみおくりの作法 [Blu-ray]

おみおくりの作法 [Blu-ray]

  • エディ・マーサン
Amazon

 

 

~二つの作品に共通する魅力とは?

「登場人物がどこか満足気なところ」です!


・『三千世界を弔って』
は人類全体への追悼を行い、
・『おみおくりの作法』は個人への追悼を行う。

弔い方も大きく違う二作品ですが、弔っている彼女たちはどこか満足気。
何故なんでしょうか…?

筆者は「弔いは善意の気持ちが折れにくい」からだと考えました。

人はどんなに他人に良い行いをしたいと行動しても、
空回ったり衝突し合ったりして、善意の気持ちが折れてしまう事がしばしばあります。しかし、故人への弔いは常に一方通行。自分自身の「良い行いをしたい」という気持ちとひたむきに向き合うができるので、善意の気持ちが折れにくいのではないでしょうか。

「人は常に良い事をしたくなる様出来ている」という考え方を前提におくと、
人が弔いに魅力を感じる事は自然なのかもしれませんね。

 

人を弔う意味を教えてくれる「弔い漫画、映画」
いかがでしょうか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーー

●『三千世界を弔って』は、

MAGCOMIにて、絶賛1話無料公開中です! ↓↓

 

magcomi.com

『三千世界を弔って』第1巻、好評発売中です!
↓↓

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーー

今後も、素晴らしい漫画、映画を皆さんにご紹介していければと思います! 
では、In case I don't see you, good afternoon, good evening, and good night!