月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2016年11月期

2016年11月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

新マンガ賞第11回募集、期待賞1作品、努力賞3作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(11月30日締切分)

完成原稿部門:期待賞賞金5万円
受賞作掲載

『龍虎』

『龍虎』

178(25)

あらすじ

その血肉は世で最も美味と伝えられる龍。幼い龍は虎に狩られ、食われることを覚悟するが――。

作品講評

現段階で高い水準でありつつ、さらなる円熟も期待させる画力が目を惹く。一方でストーリー構成とキャラクター描写には課題が残った。友愛とも恋愛とも言いがたい、脆くも美しい関係だっただけに、読み手の想像力頼りになるのは惜しい。キャラクターの個性と関係性をしっかりストーリーに落とし込む意識を改めて持ち、次回作でもその実力を発揮させてほしい。

受賞作品を読む

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『かぞくのはなし』

『かぞくのはなし』

大鹿みき(27)

あらすじ

出先で仲良くなった人を自宅へ連れ込んでしまう母。マザコン気味な絢葉は珍客に振り回されてしまい……!?

作品講評

流麗な作画力に安定感があり、等身大の感性を扱うテーマともマッチしていた。キャラクターの関係性もドラマを生む構造ではあったものの、お話の起伏に繋がりきらず、主人公の心情の変化に説得力が追いついていない印象だった。キャラクターの成長とストーリーの山場を噛み合わせて、より大きなカタルシスを。

『サタン様の娘は反抗期』

『サタン様の娘は反抗期』

ともあもえ(28)

あらすじ

妻に先立たれ、娘を引き取ることになった魔王サタン。ありったけの愛を注ぐつもりが、開口一番に拒絶され…!?

作品講評

細部まで手を抜かない描き込みと画面の見やすさが両立しており好印象。キャラクターの性格付けや振る舞いがコミカルで読みやすいが、ベタ止まりな部分が多く、「魔王」というキャラクター性もあって枠からもっと飛び出してほしかった。面白さのポテンシャルをさらに引き出せるよう、題材と向き合いながら再び挑戦してほしい。

チャレンジ部門:努力賞賞金1万円

『Imaginary Friend』

『Imaginary Friend』

ハチワレ三毛(20)

あらすじ

「いい子」たらんと己を律する少女シェリーには、誰にも見せられない異形の同居人がいて――。

作品講評

痛ましいほど本心を表に出せないシェリーの苦悩を軸に、巧みな演出力でストーリーを引っ張り、一気に読ませる力があった。バケモノとの対話を重ねての救済も心地よいが、展開の中で取りこぼされた謎が読み足をやや止めてしまうのは残念。画面映えする構図も多数あったので、次回作品はぜひ完成原稿で読ませてほしい。

最終選考作品

『伽と赤白』(完成原稿部門)

オノヅカヨシタケ(20)

『孤高のアルタイ』(完成原稿部門)

繋(22)

『付喪屋敷』(完成原稿部門)

中山こころ(19)

総評

今月期は、期待賞1作・努力賞2作、チャレンジ部門の努力賞1作となったが、非常に高いポテンシャルを感じさせる作品が目立つ、結果以上に素晴らしい漫画賞となった。

期待賞『龍虎』、チャレンジ部門・努力賞の『Imaginary Friend』は、荒削りながらも画面から伝わる魅力が凄まじく、今後への期待が大きく膨らんだ。だからこそ可能性止まりにならないよう、先を見据えて粘り強く地力を養ってほしい。

努力賞『かぞくのはなし』『サタン様の娘は反抗期』は、双方ともに丁寧で安定感があった。その上で何か突出した売りを作品内に入れ込んでいけると、もう一段階、魅力が上がっていくと思われる。

今後も才気薫る、幅広いジャンルの作品の投稿を楽しみにしている。

12月末〆切の発表は
2017年1月30日!