月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2016年12月期

2016年12月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

新マンガ賞第12回募集、佳作2作品、奨励賞2作品、努力賞6作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(12月31日締切分)

完成原稿部門:佳作賞金10万円
受賞作掲載

『ぼくと悪魔のおかしな話』

『ぼくと悪魔のおかしな話』

とまり 史

あらすじ

客足が鈍っているケーキ屋さんのもとに、アルバイト募集の貼り紙を見てやってきたのは…

作品講評

愛嬌のある悪野くんと押され気味な店長といった魅力的なキャラクターたちがしっかりとお話を動かし、審査員一同くすっと笑わせられながらもほっと温まる気持ちにさせられた。演出やカメラワークにも意識が行き届いており好印象。今後は画面作りの質をさらに上げ、連載を目指してほしい。

受賞作品を読む

『かんがかりの杜』

『かんがかりの杜』

白鳥汐(25)

あらすじ

山の神使・ちとせは、山神に捧げる供物をせっせと作っていたのだけれど、どうにも失敗が続いていて……。

作品講評

申し分なく高い画力がキャラクタービジュアルや見せゴマにて遺憾なく発揮されており、作品の雰囲気作りをしっかり支えていたことが今回の受賞に繋がった。あとはその画力を細部でも発揮してもらえればというところ。一見して何を描いているのか分からないコマもあり、演出に関しては美麗さそのままに伝達を心がけてほしい。今後は更に、内面の魅力も掘り下げていった作品が出てくることを心待ちにしたい。

受賞作品を読む

完成原稿部門:奨励賞賞金3万円

『けーちゃんと横江。』

『けーちゃんと横江。』

ニンギヤウ(20)

あらすじ

ちょっとお馬鹿な女子高生、“横江礼”にはずっと片思いの人がいて……。

作品講評

読み手を意識したシチュエーション作りに個性が光る意欲作。現代風で色気のある作風が評価された一方で、アップショットや変形ゴマの多用といった物語全体の緩急に関わる部分で課題が残る。今後は、今の強みをそのままに読み易さを向上させた作品を期待する。

『逆さ卵のオールド・マン』

『逆さ卵のオールド・マン』

吉岡ちひろ(25)

あらすじ

優柔不断が災いしてバイトをクビになった高橋弓子は、ひょんなことから過去の選択に干渉できる“逆さ卵”を手に入れるが……?

作品講評

主人公の成長が丁寧に描かれており、ストーリー・設定のうま味とキャラクターの抱える問題が上手に噛み合っている。一方で構成に関しては、ページあたりの情報量が多く、コマ割りの緩急も弱い。見せゴマの存在感ももっとアピールしてほしいので、もう少し作品全体を俯瞰した構成の整理が求められる。作画に関しては読者に気持ちよく読んでもらえるよう、丁寧なペン入れ・仕上げを心がけてほしい。

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『遊び食べる。』

『遊び食べる。』

ナキリサエ

あらすじ

JK三人娘のにぎやかお菓子パーティー! 食べ物をミックスしてファーストフードの味を再現!?

作品講評

表情豊かな女子高生たちの可愛らしさが目を惹き、愛着が持てる。一方で、掛け合いシーンと食事遊びシーンという二兎を追いつつ、どちらももう一歩だった印象。ページ全体の仕上げクオリティもさらに伸ばせるはず。アイディアやキャラクター造形を軸にしつつ、構成・作画面での意識を高めてほしい。

『バカ VS 怪獣 VS バカ VS バカ』

『バカ VS 怪獣 VS バカ VS バカ』

リトカメ(24)

あらすじ

中二な主人公達が放課後の教室で遊んでいると、音楽室に怪獣が現れたと怯えた仲間がやって来るのだが――…。

作品講評

キャラクターのデザインや個性にセンスを感じる。ギャグのくだらなさも良い具合にでており笑える作品であった。一方で画面の白さが目立つ。あえてトーンを使用しない作風はわかるが、手抜きをしているように見えてしまっては勿体ない。次回作は、緻密で画面映えする線画を意識して取り組んでほしい。

『猫に説法』

『猫に説法』

明日葉(23)

あらすじ

皆に頼られるしっかり者の愛見野。ある日、彼女はマンホールから不思議なお店に迷い込み…

作品講評

ストーリーにまとまりがあり、何を見せるべきかという演出の意識が感じられた作品であった。一方で、作画面ではまだ課題がある。特に背景に苦手意識が感じられ、構図選びの狭さに繋がっている印象を受けた。今後は、物語の惹きの強さを意識しつつ、画力のさらなるレベルアップを期待する。

『ドリーム・ディッシュ』

『ドリーム・ディッシュ』

あさいち

あらすじ

連れ去られた妹を奪還しようとする少年が出会った青年マルテラ。二人は領主の屋敷に乗り込むが、そこでは血なまぐさい宴が……。

作品講評

キャラクター造形やシナリオ面での地力が感じられ、今後の発展性も込みで期待が持てる。しかし全体的にアップの続くカメラアングルが、状況の把握しづらさ、単調さを出してしまっていた。キャラクター、ページ構成ともにメリハリを意識し、さらに読者を惹き込む画面づくりを。

『rove』

『rove』

両備伊織(26)

あらすじ

流浪のガンマン・ミカリは、殺された家族の仇を討とうとする青年・ユルと出会うが――。

作品講評

キャラクターに一貫性があり、独特のセリフ回しが良い。ただ、話が淡々と進んでしまい、気付いたら終わってしまっているので、読後感に乏しくなっている。作画・構成に関しても、銃撃戦のシーンが他のコマと変わらない速度感なので、アクションシーンならではの迫力を意識してほしい。線画が荒いので、今後は個性・持ち味を残しつつ、見やすく洗練された画面になることを期待したい。

『私の猫、私が猫』

『私の猫、私が猫』

清冴一可(27)

あらすじ

交通事故がきっかけで、ペットと入れ替わってしまった主人公。ずっと一緒に暮らしてきたペットは実は自分のことが大嫌いで…?

作品講評

絵柄に好感が持てる反面、背景などの描き込みが足りない印象。ストーリー自体はコミカルで読みやすいが、猫と主人公の視点が交錯する点が掘り下げ切れてなかった点と、カメラワークやコマ割りで混乱することがあった。今後はページレイアウトを中心に、描き込むべきところにきちんと手を付けて挑戦してほしい。

最終選考作品

『スケスノボード』(完成原稿部門)

神崎誠(26)

『クロエの書斎』(完成原稿部門)

つちのこ(24)

『フィアーの共棲』(完成原稿部門)

大塚蒲鉾(26)

『REBIRTH』(完成原稿部門)

道草なずな

『生徒会の問題活動記録』(完成原稿部門)

中川司(29)

総評

今月期は受賞作品数が過去最多と、非常に実り豊かな素晴らしい漫画賞となった。

佳作『ぼくと悪魔のおかしな話』『かんがかりの杜』はそれぞれキャラクター、画力と秀でた部分が大変魅力的で、納得の受賞であった。担当編集者と共に、その売りとなる特徴を更に磨いていってほしい。

奨励賞『けーちゃんと横江。』『逆さ卵のオールド・マン』の2作品も良い意味で個性の光った作風で、深く印象に残った。努力賞の各作品もそうだが、自分の持つその個性をどう活かすか、そしてどう伝えるかを意識して、今後も取り組んでもらいたい。

今後も才気の溢れた、幅広いジャンルの作品の投稿を楽しみにしている。

1月末〆切の発表は
2017年2月28日!