月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2017年1月期

2017年1月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第13回募集、佳作1作品、努力賞5作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(1月31日締切分)

完成原稿部門:佳作賞金10万円
受賞作掲載

『宇宙犯罪対策課』

『宇宙犯罪対策課』

片岡とんち(23)

あらすじ

「宇宙犯罪対策課」に入ったばかりの日馬仁は、先輩からの強烈な“しごき”に耐える毎日をどうにか打破しようとしていたが……。

作品講評

画力の高さも然ることながら、オリジナルの世界観・設定を分かりやすく伝える力と、その魅力が発揮される表現・演出など、全体的に高いところでまとまっており、大変読み応えがあった。欲を言えばバトル、アクションシーンが見せ場であるため、そこがより盛り上がる構成になっていれば良かった。今後はベースを大事にしつつ、ポテンシャルを更に引き出した作品を作ってほしい。

受賞作品を読む

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『斧オノSELECT』

『斧オノSELECT』

谷州犬壱(27)

あらすじ

池に鉄の斧を落とした少年は、女神に「金の斧を落とした」と嘘をついたせいで試練を受けることになり……。

作品講評

構成がしっかりしており、線や仕上げなどの表現が大変丁寧で好感が持てる。ただ、技術に対する評価は水準以上あるものの読者の興味を引く魅力や、期待を煽りそれを超えることはまだ不足していることを否めない。どういった層に、どのような作品を、どのようなアプローチで届けるのか熟考した作品を期待する。

『ウェイク・ミー』

『ウェイク・ミー』

北タシヤ(27)

あらすじ

青年・スリフキが目覚めると、人々が眠ったまま動かなくなる奇怪な現象が各地で発生していた――。

作品講評

作中世界に流れる独特の雰囲気にセンスを感じた。会話の間も世界観の構築に一役買っている作品だった。一方で、全編を通して画面が白いことと、演出が不足しておりシーンごとの起伏が感じられなかったのがもったいない。また、トーンを用いない表現は一定の層の支持を得られるが、質感を失っている絵も多々あるので、構築したい画面ごとに使う技法を選択した方がシーンの持つ情緒を生かせる。輪郭線の強弱も同じなので、「今、何を描いているのか」を意識して取り組んでほしい。

『太ったについて。』

『太ったについて。』

MAYA(22)

あらすじ

彼氏の「太った?」という一言をきっかけに、主人公のなっちゃんは思いを巡らせる。

作品講評

シンプルな題材ながら、印象的なセリフと単調ではないコマ割りが目を引いた。しかし、現状では自分の感じたことを形にしただけという印象が拭えない。今後は、作者と同じ思いを抱えていない人でも、作品に入り込めるようなストーリーやキャラクター作りに挑戦して欲しい。また、社会の時流にも視野を広げ、題材選びや絵のデザインに活かしていくと良いでしょう。

『勇者探してます!』

『勇者探してます!』

原作:石見夕 漫画:よしだひでゆき(23)

あらすじ

聖剣を携えて勇者を探す巫女クゥ。訪れた温泉街は誘惑がいっぱいで、ついつい寄り道を!?

作品講評

美少女キャラクターの可愛らしさや特徴が良く出ており、画面の華やかさが映えていた。しかし散策・食事・入浴などを総合的に含めた「観光」というテーマが伝達不足であり、読み手側の視線がぶれて、各シーンとも中途半端な印象になってしまった。導入や演出での工夫を凝らし、作品の狙いや醍醐味を的確に楽しめる次回作を期待する。

『四月一日肇の不可思議な日常』

『四月一日肇の不可思議な日常』

恵那秋日子

あらすじ

時は大正。とある屋敷に、付喪神に取り憑かれた娘がいた。日に日に弱っていく娘を見かねた父親がかけこんだのは、妙な噂のある骨董品屋で……。

作品講評

劇画調のインパクトある画風で、色気が感じられた作品。キャラも魅力的に仕上がっており、全体の作風としては好印象。一方、コマ割りの多さで画面全体にメリハリがなく内容が入ってきづらい。詰め込みすぎのためか、細かく描き込んであるコマも小さく、せっかくの見せ場も印象に欠けている。今後は見せ方や読みやすさも意識して、作品作りに取り組んでほしい。

最終選考作品

『夢現』(チャレンジ部門)

紫(23)

『Murder=Out』(チャレンジ部門)

紫(23)

『momochi』(完成原稿部門)

滝嶋斧三郎(26)

『あやかしセンセーション!』(完成原稿部門)

葦原 ゆう子(22)

『マザコンと甘えの両立』(完成原稿部門)

緒方ナオ(30)

総評

佳作1作に努力賞5作と、前月に引き続き見どころのある漫画賞となった。

佳作『宇宙犯罪対策課』は、話作り・表現力・画面の華やかさなど完成度が頭一つ抜けていた印象で、納得の受賞となった。その高い将来性を可能性のまま終わらせないよう、根気強く高い目標に向けて取り組んでいってほしい。

努力賞の5作品は、それぞれの講評にあるように読む者の心に残る“特徴”を出せていたことが今回の受賞に繋がったと思う。その特徴が自他ともに認める“売り”となるよう、引き続き作品作りに励んで才を磨いてほしい。

今後も可能性に溢れた、幅広いジャンルの作品の投稿を楽しみにしている。

2月末〆切の発表は
2017年3月30日!