月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2017年12月期

2017年12月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第24回募集、奨励賞2作品・努力賞2作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(12月31日締切分)

完成原稿部門:奨励賞賞金3万円

『マジックミラー』

『マジックミラー』

石原由果子(24)

あらすじ

大学生・川原マイは教授の山田に憧れを抱いていた。妻を亡くしたばかりで余裕の無い山田の力になれればと、マイは山田の一人娘の家庭教師をすることになるが、そこから彼女の人生は一変する――…。

作品講評

明確に作者・作品の魅力や強みが見えた作品だった。内面が変化していく様子がキャラの外見=絵に表れており、一見して伝わってくるのが良かった。絵柄も作風にマッチしており、内容もオチが読めてしまう構成ながら、楽しく読むことができた。とは言えやはり、期待を超えるような何かがあればとも思う。作画はまだ荒いので、読者の視線がストーリーの外に行かないよう丁寧に仕上げてほしいのと、同様にヒキの絵はもっとしっかり作っていけると見せゴマの印象をより強力に出来るので、こなれてほしい。

『となりの異星人』

『となりの異星人』

タバタ グランドキャニオン

あらすじ

ある日の帰り道、冴えない高校生・木村は擬態宇宙人・メデュオルプス星人に捕まってしまうが、面倒をみることになってしまって…?

作品講評

スラスラと読めて、全体的にそつがない印象。絵に関してはアナログの技巧的な面が光る分、やや白さが目立ったのが残念なところ。ストーリーも構成として読ませてくるが、もう一つフックなるものが欲しい。ただ、基礎的な部分は概ねカバーできており、今後の課題としてはやはり題材の取捨選択において「他よりもどう抜きん出るか」次第といえる。宇宙人とのボーイミーツガールという題材から、さらにもう一歩踏み込んできたり、あるいは突飛かつ痛快な展開を加えたりといった工夫に期待したい。

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『面妖電車』

『面妖電車』

鯱太(20)

あらすじ

駅のホームで電車を待っていた女子学生。しかし、やってきたのは一車両しかない古い電車で…。

作品講評

整った読みやすい絵柄と、丁寧な仕上げに好感が持てた。また、1ページ目の引き込みがとても上手かった。しかし、ところどころ描写不足な部分が見受けられ、ストーリーの流れにやや不自然さを感じたため、全体的にみると、まだ構成面は発展途上といった印象。内容もありきたりなので、より強いアイデアを展開できるよう、ストーリーやキャラクター作りの面でも、自分なりの工夫を積み上げていってほしい。これからの更なる成長を期待する。

『As the Crow flies』

『As the Crow flies』

上松蒼(23)

あらすじ

試合中の事故で一線を退いていたエアレーサー・カラス。陰謀の阻止、過去の清算、託された新たな翼――絡み合う因果に背を押され、伝説の選手が空へ舞い戻る!

作品講評

寡黙だが決意を秘めた主人公像、思惑が交錯するドラマ、題材となるエアレースなど、重厚なストーリーを綴ろうとする意欲が伝わってきた。今の課題はその魅力を徹底して描ききること。今作では残念ながらそれらの要素が薄味だった。仕上げを含め画面作りがあっさりした印象で、特にエアレースでは迫力やスピード感ある見せ方が求められるなか、自分で設けたハードルを飛び越しきれなかった印象。今作に限らず、テーマの魅力に力負けしないよう、筆力もこつこつ積み上げていってほしい。

最終選考作品

『悪魔祓いのトーマスさん』(完成原稿部門)

石原遊(29)

『守りたいもの』(完成原稿部門)

阪茉里恵(20)

『匂ひ紫の狐』(完成原稿部門)

白鴉(25)

総評

奨励賞2作、努力賞2作。まだまだ上を狙えるポテンシャルを秘めた実力派揃いだった今回。

奨励賞の2作は、ストーリーライン自体は特に目新しいものではないが、各々の強みによって読ませる力を持った作品となっていた。『マジックミラー』は演出の妙が光り、不穏な空気感がビシビシ伝わってくる「分かりやすさ」が良い。作画面が向上すれば、その武器をさらに尖鋭化出来るだろう。『となりの異星人』は緻密な作画にも関わらず、すっきりとした画面で非常に読みやすかった。漫画的ケレン味も十分魅力的ではあったものの、他作品には無いこの作品自体のウリというものは見当たらなかったので、次回は意識して制作に取り組んで欲しい。

努力賞の2作は意欲的で「魅せたいもの」をしっかり持っている作品だった。しかし、演出面・作画面といったところで、魅せたい部分がぼやけてしまったり、描き切れなかったり…という印象。修練次第では化ける可能性も多いにあるので、期待したい。

今後も自身の「魅せたい!」を追求した作品の投稿をお待ちしております。

1月末〆切の発表は
2018年2月28日!