月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2018年1月期

2018年1月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第25回募集、奨励賞2作品・努力賞1作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(1月31日締切分)

完成原稿部門:奨励賞賞金3万円

『おっきくなっちゃった!』

『おっきくなっちゃった!』

長谷川恭大(27)

あらすじ

憧れの先輩に告白するも、胸の小ささが原因で振られてしまった女子学生・二条。失意の最中、彼女は突然現れた流れ星に胸が大きくなるよう願いを告げると…!?

作品講評

サクサク読めて、良い意味でバカバカしく面白みがあるコメディ作品。読者を楽しませようとする姿勢がうかがえた。総合的な漫画力は高く及第点ではあるが、ところどころ演出というわけではなく、ただ単に雑になってしまっている部分もみられたため、もうワンステップ、漫画に対して意識を高めてほしい。アイデア面も決して悪いわけではないが、まだフックとなるものが弱い印象。今後、ベタから一歩踏み込んだ魅力的な独自性を見出していってもらいたい。

『写獣 – うつけもの -』

『写獣 – うつけもの -』

芦谷クニイチ(23)

あらすじ

仕事をクビになった山羊の獣人・ニコは、職探しに訪れた街で奇天烈な写真店の店主に出会うが…。

作品講評

前回から更に画面の作りがしっかりしている。ストーリーは動いているキャラクターが2人いて、「誰が何をする話なのか」という部分が弱く感じられた。その他にも欲しい情報がところどころ不足しており、そこが作品の受け取りづらさに直結してしまっている。おそらく作者が伝えたいことや、作者の中にあるものが読者へ十分に伝わっていないので、読者に今何が伝わっているのかを真剣に考えていく必要がある。そのためにも、自身の作品を俯瞰して見る意識を強めてほしい。

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『百怪画廊』

『百怪画廊』

瀬戸内彩(26)

あらすじ

「叔父が私に遺したもの…このギャラリーと、これから描かれる百枚の呪いの絵画」ーー。大学生の御門は、絵画に現われた怪談の謎を追い、その呪いを解こうと試みるのだが……。

作品講評

ホラージャンル特有のほの暗さ、キャラクターが醸し出す色気、大胆に描いた猟奇的なシーンなど、作者が見せたい部分が存分に伝わる作品。ただ、画面づくりの点では密度が高い反面、粗さが目についてしまう。内容に関しても、情報過多で整理しきれておらず、一読だけでは頭に入りづらいきらいがある。今後は、画面づくり、内容づくりともに必要な情報を精査し、読みやすさを意識した物語を作り上げてほしい。シンプルだからこそ持ち味が活きた作品を。

最終選考作品

『かたあしの蝶々』(完成原稿部門)

ミライレナ(22)

『ウラの顔横丁3丁目』(完成原稿部門)

水森五月

『人生列車』(完成原稿部門)

ホヅ(19)

『ALL I』(完成原稿部門)

さん.

『ダンジョンクラフト』(完成原稿部門)

ミカンの皮(27)

総評

奨励賞2作、努力賞1作。荒削りだが勢いがあり、伸びしろを感じさせる作品が多かった今回。

奨励賞の『おっきくなっちゃった!』は直球な題材で直球にコメディを直球な演出で投げつけてくる「読みやすさ」が他作に比べて抜きん出ていた。読者を1ミリも迷わせない構成力は非常に好感だが、その反面、細部をおざなりにしている印象。自分の作品を客観的に観る目を養おう。同賞『写獣 -うつけもの-』は作画・構成ともに高いクオリティで制作されており、題材としても読者の興味をそそるものであった。しかしそこから、より高純度の「面白さ」を抽出するための方法論が迷子になってしまっている。シンプルに「面白さ」を伝える為、構成要素を取捨選択する事が必要だ。

努力賞の『百怪画廊』は非常に意欲的な作品で、持ち味をはっきりと、今出来うる表現方法で描き切った事は評価したい。足りない部分は多々あるが、修練の積み重ねと画面の整理だけでもガラリと印象が変わるだろう。

今後もシンプルな「面白さ」を追求した作品の投稿をお待ちしております。

2月末〆切の発表は
2018年3月30日!