月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2018年2月期

2018年2月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第26回募集、奨励賞2作品・努力賞2作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(2月28日締切分)

完成原稿部門:奨励賞賞金3万円

『死葬花カンターレ』

『死葬花カンターレ』

紫苑ノ唄(23)

あらすじ

歌姫・スリロスには夢がある。それはかつて母が立てなかったステージに自分が立つこと――。しかし、ある日突然現れた死神に、余命幾許もないと宣言され…。

作品講評

ストーリーの構成やキャラクタービジュアル、山場を作りそこでキャラクターを活躍させるなど、魅力が沢山ある作品だった。死神の設定や解釈も、十全には活かしきれていないものの、新規性があり面白い。ただキャラクターの描写バランスがやや取れておらず、「誰が何をする話なのか」「このキャラを出す必要性が欲しい」というところもあるので、次作以降ではそういった点の成長を期待したい。背景などの仕上げも丁寧ではあるので、どういうイメージがその作品にとっての理想形なのかを意識することで、より良くしていってほしい。

『雨が止んだら、』

『雨が止んだら、』

宮野道子(19)

あらすじ

雨の日、主人公はその空模様と同じ心持ちでバス停にいた。ふとそこに女の子と見間違える少年が現れ…。

作品講評

叙情的なストーリーを際立たせる演出と画面作りが非常に好印象。表情豊かで目力のあるキャラクターも魅力的だった。また作家自身の「挑戦」が作品内の随所に見え、今後の成長が楽しみに感じた。一方で仕上げなどの細かいところを見るとまだ粗さが目立つ。描きたい部分とそうでない部分の差がありすぎるので、今後はそういった弱点をしっかりと補いつつ、自身の強みである演出・画面作りを伸ばせるとさらなる飛躍が期待できる。

完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『封印されし脇腹の剣』

『封印されし脇腹の剣』

右真左

あらすじ

魔王を倒すため、勇者はおっさんの脇腹に刺さった伝説の剣を抜こうとするが…。

作品講評

出落ちで終わらせず、勢いのあるギャグを成立させていたことが今回の受賞に繋がった。ただし、画力はまだまだ研鑽の余地があり、別の作画になったと想定した場合に、化学反応を引き起こし多くの人を笑わせられるネタになっていたか怪しいところ。キャラの設定を活かすことや、画作りで笑わせられるネタなど、笑わせ方のバリエーションを意識して取り込み、さらに笑いの幅を広げて欲しい。

『明日笑っていられるように』

『明日笑っていられるように』

保科彗

あらすじ

街外れに住むシロウは心を持ったアンドロイド・カナンを拾う。主である「先生」の約束を大切にするカナンに、徐々にシロウの心は絆され…。

作品講評

キャラクターの表情や心の動きを絵に落とし込もうとする画面作りが好印象だった。しかし、観念的な題材であるがゆえに、登場人物の掘り下げにもう一歩踏み込んでいってほしかった。また、絵についてはキャラの顔以外への興味が薄いように感じた。背景や小物、手の仕草など、些細な部分もキャラの性格や感情が滲み出るものである。様々な物事を観察し、絵やお話に落とし込んでいけるよう意識しよう。

最終選考作品

『リンデンベルク候の困惑』(完成原稿部門)

苔司

『バレンタインを消さないで』(完成原稿部門)

秋咲 りお

『ドッペルゲンガーの日』(完成原稿部門)

ただのけい(23)

『複製人間』(完成原稿部門)

ホヅ(19)

総評

奨励賞2作、努力賞2作。一定のクオリティは担保されている作品が散見した今回。

奨励賞の『死葬花カンターレ』は、死神という概念の新しい解釈を提示したアイデアがすばらしい。が、それらを動かす土台となるべき世界観という地図を思い描いていないため、キャラクターも含めて迷子になっている印象。ビジュアル面が申し分無いだけに、余計に惜しく感じた。同賞『雨が止んだら、』は自身の描きたいものを、とにかく一片の迷いもなく描き切った事が好印象。己の内側にある憧憬を丁寧に紡ぎあげた事に、非凡な才能を感じた。あとは読者と最大値で共有出来るような憧憬を選ぶと良い。

努力賞の『封印されし脇腹の剣』は企画勝ちと言っていい。最後は息切れしたが、作画部分も含め精進して欲しい。同賞『明日笑っていられるように』は自分の実力以上が必要な題材に果敢に挑戦した事を讃えたい。その積み重ねがいずれ実となり花となる事を忘れないよう。

今後も自身の限界に挑んだ作品の投稿をお待ちしております。

3月末〆切の発表は
2018年4月30日!