月例マグコミマンガ大賞・結果発表 2019年11月期

2019年11月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第47回募集、佳作1作品、期待賞1作品・努力賞1作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(11月30日締切分)

完成原稿部門:佳作賞金10万円
受賞作掲載

『戦禍の花心』

『戦禍の花心』

みゆき

あらすじ

戦場に現れ、不治の病をも癒すとされる幻の鬼火――“戦禍の花”。火の丸国の跡取り・火吉寒灰は、余命幾許かの英雄・境心臓の病を治すため、彼とともに戦禍の花を求めて戦場を流離う。戦禍に見舞われ命の灯火が消えゆく中、二人が見たものとは――…。

作品講評

大胆な構図、外連味ある演出、軽快なテンポなど、読み手を惹きつけ、ページを捲らせる力強さがある。だからこそ、漫画の礎となる題材における方向性を検討し、キャラクターが抱く感情を深く掘り下げてほしい。そのうえで自らが与えた設定を余すところなく使い尽くすことができれば、巧みな表現力を活かした物語の面白さを醸成することができるだろう。

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完成原稿部門:期待賞賞金5万円
受賞作掲載

『プラストール』

『プラストール』

さばとばん

あらすじ

広大な大地は数十年に一度の永き冬の眠りについた。騎士・セルゲイは春を呼び戻すため、巫女姫とともに聖地への回帰を試みる。残酷な自然との戦いの中、憂いの淵に立たされたセルゲイを衝き動かすのは、巫女姫と交わした「ある約束」だった――…。

作品講評

繊細かつ緻密な画面づくり、流れるような美しい映像描写など、画力の高さが際立った。ただ、ストーリーラインを追いつつも雰囲気で押してしまうところが口惜しい。読み手がキャラクターの心情に深く寄り添えるように、具体性の伴ったエピソードを加える必要がある。エピソードの取捨選択を行うように心がけ、物語に厚みを持たせれば、武器である画力と演出がさらに活きてくるだろう。

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完成原稿部門:努力賞賞金1万円

『スペースマート24』

『スペースマート24』

笹林

あらすじ

宇宙コンビニで夜勤一人で働く人型宇宙人アルジルは、低賃金で、めんどくさい客の接客などに辟易し今日をもって辞めようと考えていた。しかし、銃を持った強盗が来店してきて…。

作品講評

可愛らしいキャラデザや、テンポよく読めるネームが心地よく。また舞台設定に共感と面白みがあることから今回の受賞に繋がった。しかし、所々キャラのデッサンが崩れている所や、体の柔らかさがないのが気になった。また残念だったのは、物語で読者がどう楽しめばいいのか分かり辛いものになってしまっていた。また、舞台設定が十分に生かせていなかったことも勿体ない。しっかりと読み手を意識した作品作りを心がけていって欲しい。今後の活躍に大いに期待している。

総評

佳作1作品・期待賞1作品・努力賞1作品選出。
確かな実力者が爪痕を残す結果となった。

『戦禍の花心』は力強い筆致と巧みなコマ割りはかなり水準が高く、見事佳作に輝いた。一方で、物語作りにおいてはまだ細部の詰めが甘い印象がある。キャラクターの抱える魅力や課題をもっと展開に活かすことができるはず。キャラクターのやりとりにこなれている印象があるからこそ、キャラクターの掘り下げから物語を構築していくことも挑戦してみて欲しい。
『プラストール』は、緻密さを感じる絵面の水準が高く、期待賞受賞と相成った。しかし、物語運びが一定のミッションをクリアするためだけになっており、キャラクターに感情移入して物語の行く末を期待することが出来なくなってしまっている。直面する出来事がキャラにどのような影響を与えるか、またはキャラに与えたい影響から逆算して出来事を構築できているか。次作ではプロットの段階から上記のような意識を持ってみて欲しい。
努力賞の『スペースマート24』は、ノリの良さとそれにマッチした絵柄が評価された。ただ、舞台装置を活かした振り切り方にはなっておらず、なぜ?という疑問を打ち壊す説得力が薄いのが惜しい。コメディだからといって単にめちゃくちゃなことをすれば良いわけではないので、次作は線と線が繋がる快感を意識して物語を組み立てて欲しい。

今回、最終選考通過作品は0。受賞作品は水準が高かったと言えるが、それ以外の作品は水を開けられた結果であった。個々の作品を改めて見直し、課題を持って自身の能力を研磨していって欲しい。

今後もキャラクターが魅力的に立ち回る作品をお待ちしております。

12月末〆切の発表は
2020年1月30日!