2021年4月期結果発表
第2回募集、期待賞2作品・奨励賞3作品・努力賞1作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(4月25日締切分)
賞金5万円 受賞作掲載
『舞台沼へようこそ!!』
はぢや
STORY
クラスメイトのやっかいごとや、雑用を率先して引き受ける和田さんは、他人のやりたいことを支えられればそれでいいと思っていた。しかしある日の帰り道、一人の青年の勧誘で観ることになった「演劇」が彼女に衝撃を与える…!
選評
明るくポジティブな主人公のキャラクター性や、テンポよく最後まで読ませる物語の構成が気持ちよかった。一方で全体的に物語の盛り上がりに欠けていた印象。主人公が「演劇」のどこに惹かれたのか、何を楽しんでいるのかが描かれていると、より物語に説得力を出していけるだろう。作風やテンポ感の強みを活かしつつ、よりドラマ性が感じられる演出・構成を意識した次回作を期待。
『魔王、厨二病のペットである』
鈴 瑛茉
STORY
勇者に敗れ命を落とした魔王。しかし、ひょんなことから可愛い魔物に転生してしまい、魔王だと気づかれないまま勇者に飼われることに。ただでさえ屈辱な魔王だったが、勇者の厨二病な言動に振り回されてしまい…?
選評
キャラクターを見せるというコンセプトが分かりやすく一貫した構成になっているのと、作画がしっかりしている点が評価に繋がった。表情は少し硬く感じられるので表現力を伸ばしてほしい。笑いのパターンやボキャブラリーの引き出しもコメディ路線を描いていくなら補強したい部分。キャラクターデザインも何かしらの新規性があると尚良い。強みと課題を整理して成長に繋げてもらいたい。
賞金3万円
『Empty』
勝見ふうたろー
STORY
「なんで生きてるんですか?」ある日突然、体の臓器が全てなくなった真紀は、医者にそう言われる。原因もわからず体調も至って普通。どうしたものかと思っていると、夢で臓器が話しかけてきて…。
選評
冒頭のつかみが秀逸。設定も奇抜で面白く、人の闇を描いているのに飄々とした主人公のおかげで、暗くならずに最後まで爽やかに楽しめた。作画に関しては味のある独特なタッチは悪くないものの、商業を見据えると少し華が足りない。また、なんとなくで描写してしまっているところも散見されるので、作画の完成度を含め今後に期待したい。
『メランコリックアサシン』
藤倉 秀
STORY
金と自分しか信用しない殺し屋ジュードの次の依頼は、ボスの娘・ペネロピの子守り!?冷酷な男は天真爛漫な幼女に、振り回され――。
選評
幼女の可愛らしいキャラクターが高評価を得た本作。王道な題材で、目新しさは薄れたもののキャラクターのコミカルなやりとりが心地よかった。惜しかった部分をあげるならば主人公とヒロインに、同量の見せ場があり強調したい部分が埋もれてしまっていた事だ。内容面で比較的支持を得た事に比べ、画力や演出の面ではまだまだ研鑽が必要。次作では絵柄に合う演出を既存の商業作品などで研究し、読者を魅了できるような画面作りに期待。
『カラスの願い』
レジーナ
STORY
マダム・ムーニーのもとで使い魔として働くカラス、リセルはある日一人の幼い少女に出会った。彼女に対して何故か特別な親しみを覚えたリセル。それには深い理由があり…。
選評
しみじみとした温かみのあるドラマが爽やかな読後感を与える本作。カラスである主人公をはじめ、それぞれのキャラクターの複雑な感情までしっかりと伝わる表情の作画が評価を集めた。しかし、それ以外では課題も残る。優れたコマ割りや演出が、シーンを効果的に表現しているものの、一方で背景や小物の描写が粗く演出の良さを活かしきれていなかった。世界観やキャラクターの良さを伝えられるよう、作画力の向上を期待したい。
賞金1万円
『間隙の愛情』
九尾ずんこ
STORY
探偵アランの元に舞い込んだ怪しげな依頼。それは「妻と庭師を殺した」と警察に自首をした雇い主の無罪を証明して欲しい、というものだった。アランが調査を進める内に事件は歪んだ様相を見せ始め……。
選評
ミステリーとしてしっかりとお話を作り、謎を残す事なく作り切れていた点が評価に繋がった。繊細でオリジナリティのある絵柄も題材にマッチしており、作品の持つポテンシャルを引き出す事に一役買っている。一方で会話劇を中心に淡々と進んだ印象があったので、例えば探偵役の主人公に話を引っ張らせてドラマに動きを持たせる等、より読者が楽しみながら読む事のできるエンタメ性を意識してほしい。
最終選考作品
完成原稿部門
- 『おぉるれでぃ』勝見ふうたろー
- 『世界の終わりで晩餐を』礼二郎
- 『金曜日は先生の家で』ゴンザレス吉沢
- 『壱多マミル覚え書き』風々
- 『あなたのため息を僕が吸う』菊地栞
- 『それでも桜は舞い落ちる』丸井うづら