2023年4月期結果発表
第26回募集、佳作1作品・奨励賞3作品・努力賞2作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(4月25日締切分)
賞金10万円 受賞作掲載
『望月と三日月さん』
蓮美かい
STORY
持病の発作で倒れた少女・三日月は、何者かの声を聞き命を救われる。その声の主をたどった先で見つけたのは、人形の頭で――…。
選評
美麗な作画と高い表現力が高評価だった今作。人物が特によく描けており、演出も相まって作品の神秘的な雰囲気がよく伝わってきた。印象に残るシーンを意識的に作れていた点も評価に繋がった。一方で物語面では、本筋であるはずの人形と恋に落ちるまでの流れが分かりづらく、盛り上がる前に終わってしまい不完全燃焼な印象。主人公の心理描写や感情の起伏も淡々としているため、設定の良さが生かしきれておらず作品に没入できなかったのが惜しい。自身の持ち味は生かしつつ、より読者を集中させる次作を期待する。
賞金3万円
『好きな子の服を選んでみた』
木野みつ
STORY
ある日、女子高生の乃愛は、クラス会に着ていく服選びを手伝ってほしいと弥生に頼まれて…。
選評
高い画力で女の子を可愛く魅力的に描けている点が高評価を集めた本作。ページ数が少ないながらも物語としてしっかりオチが用意されていた点はよかったが、キャラクターの関係性については描写が少ない印象を受けた。二人のお互いへの思いや、これまでの話が語られると作品としてさらに魅力的なものとできるだろう。また、顔の作画が高水準な一方で、体を描くことに苦手意識がある印象を受けた。百合というジャンルを描くにあたり強みとなる画面を作るためにも、人体の崩れを減らし正確に描けるようになることを、今後の課題としていってもらいたい。
『ボタニカル・アネクドート』
森一 ま~
STORY
植物の新種を求め世界中を探索する「プラントハンター」のロバート・フォーチュンは、冬に芽吹く「幻の茶の木」の探索をすることになり…。
選評
物語の起承転結を意識した構成や丁寧な作画に評価が集まった本作。また、「プラントハンター」という題材を独自な視点で掘り下げ出来ていた点も好印象。しかし、ページ数が長いため、テンポ感が悪く冗長に感じる場面も。ページ数を減らしつつ、見せ場を意識した画面構成や展開で描くことでメリハリが出るだろう。また、アクションに躍動感が足りなかったので、動きのあるシーン作りを意識して頑張ってほしい。
『夢狂い』
内ヶ島裕章
STORY
≪花の図鑑を作る≫という夢に命を懸ける少女・リーゼと、そんな彼女のために剣を振るう少年・フィルのファンタジー冒険譚。
選評
背景などがしっかりと描き込まれており、世界観を魅力的に描けていた。また、アクションシーンなどでも躍動感のある印象的な構図を活用し、印象に残る画面作りが出来ており素晴らしかった。一方で、主人公のリーゼとフィルともに、キャラクターの行動の動機に対する説明が不足しており、読者に伝わりづらいという点は課題だろう。キャラクターが何を基準に行動しているのか読者に疑問を抱かれないように、必要なエピソードを盛り込むなどの工夫に期待する。今後はより読み応えのある次回作に期待したい。
賞金1万円
『モノノケとベーカリー』
日ノ枝 いづる
STORY
曾祖父から引き継いだパン屋・『ベーカリートバ』で奮闘する裕一郎のもとに、とあるモノノケが現れて…!?
選評
モノノケのビジュアルや仕草などを可愛く魅力的に描けている点は好印象。だが、モノノケの存在が物語や主人公に与える影響が小さく、凡庸な形に留まってしまったように感じる。モノノケという独創的なキャラクターを登場させるからには、モノノケの存在や裕一郎とのエピソードを掘り下げていけるように模索して欲しい。また、コマ割りや作画などで画面を丁寧に描けている点は好印象であるが、より基礎力の向上や洗練さを求めていくことができると良いだろう。今後は独創性だけでなく、世界観の奥深さも見たい。
『彼女は僕を愛しすぎる』
秋保 安希
STORY
人気者で美人な彼女、倉美鈴さんにはある噂があり…?
選評
良くも悪くも類似作などが連想しやすい、わかりやすいラブコメ作品に仕上がっている。とにかくヒロインの美鈴さんがとても可愛らしく描けていて、描写に説得力を持たせることに成功しているが、キャラの感情表現の移り変わりを描く前に物語が終わっているため、物語の構成・展開のさせ方にはまだまだ研鑽が必要。キャラクターの内面を丁寧に描写することや、どんでん返しなど物語に起伏をつけることを意識するとより良くなりそう。次回作に期待。
最終選考作品
連載ネーム部門
- 『インスタジェリコ』村瀬拓