2023年7月期結果発表
第29回募集、期待賞2作品・奨励賞2作品・努力賞1作品選出!
今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…?(7月25日締切分)
賞金5万円 受賞作掲載
『花園のベル』
佑月 アウル
STORY
孤独な少年モネは、慕っていた祖父の家で竜が眠る花園を見つける。かつて国を滅ぼしたという竜は、モネの想像と違い、親しげに話しかけてきて……。
選評
作品の雰囲気がよく作り込まれており、見せ場の構図取りが上手く、ドラマチックな演出が出来ていた点が高評価だった。一方、キャラや世界観のバックボーンが語られるまでが長いため、読んでいてもメインテーマが捉えにくい構成となっていた。さらに、二人の抱えている問題に共通性がないためそれぞれ説明する必要が生じ、全体的に冗長な構成となっていた点も惜しい。自身の強みを研ぎ澄ませ、次作では読者に飽きさせない物語作りに期待したい。
『夢喰師』
ハルシオン
STORY
常に他人の言いなりになる日々を送っていた主人公・七瀬夜市はある日、「夢喰師」という嫌いな人を消してくれる都市伝説を教えてもらい…!?
選評
全編を通してダークな雰囲気が漂っている意欲作。好みは分かれそうだが、絵の雰囲気が作品と非常にマッチしており、きちんと見応えのある画面作りができていたことが受賞に繋がった。一方で、物語の展開のさせ方については編集部内でも賛否両論があった。破滅的な終わり方をする作品は、例えばキャラクターが報いを受けるというような、きちんとそれ相応のカタルシスを演出しないとただ読後感が悪かっただけで終わってしまうので、次作はそのあたりを工夫してみよう。
賞金3万円
『負けヒロインにはさせません!』
蒼樹めい
STORY
大学1年生の月宮衣央はある日、愛読する漫画「こよロマ」の世界へと転生してしまう。そこで出会った推しヒロイン聖羅様をハッピーエンドへと導こうとするのだが…。
選評
転生×百合という意欲的な題材に挑戦したことが評価を集めた本作。作画においては表情が豊かで描き分けが上手く、終始可愛い画面を作れていた点が高評価だった。しかし、展開面では駆け足な印象を受け、強引さを感じてしまった。状況の自然さを追求していけると、より感情移入が出来る物語にしていけるだろう。また、中盤から百合展開をしていくにあたりそれぞれの出来事が弱く感じた。決定的なシーンを描くことで関係性に説得力を持たせられるように意識してみて欲しい。
『鋏師の音』
漫画:にしやま 原作:ことばたらず
STORY
人ならざるものの髪を切る『鋏師』である"音"は、母親を亡くしたその仕事にトラウマを抱いていた。そんな音は、鋏師としての母親の話を聞くべく、母親が働いていた美容室へ向かうことに。
選評
人ならざるものの髪を切る美容師の『鋏師』というユニークな設定がツカミとなっており、それを高い画力で表現できており素晴らしかった。一方、物語の過程に人ならざるものが絡む必然性が少なく、重要な立ち位置であるはずの彼らの存在が浮いてしまい、折角の設定が活かしきれていなかったのが惜しい。また、物語の世界観や、キャラクターの人間関係の説明が不足している箇所も散見された。次回作では、物語ならではの世界観を十二分に活かした作品を期待する。
賞金1万円
『西瓜には塩をひとつまみ』
竜澪ている
STORY
雪山に住んでいたカーネリアは、世界中を回り様々な仕事をする「一匙の花」と共に、とある海の調査に出かけるのだが…。
選評
優しいお話と、お話の雰囲気にあった可愛らしいキャラクターデザインが光った本作。場面の雰囲気に合わせて演出を変えるなど、読み手を飽きさせない工夫も多々見られ好印象だった。一方で、「この世界はどんな世界なのか」、「主人公達が何故調査を行っているのか」などが作中で説明されておらず、キャラクターに感情移入しきれなかった点が評価を落とした。より共感、感動できるお話を作る為にも、キャラクター達のバックグランドなど、必要な情報をしっかり描く事を意識して次作に挑んで欲しい。
最終選考作品
完成原稿部門
- 『スペース★プロポーズ大作戦』神影龍之介
- 『一人と一匹』浅岡千尋
- 『もてもて加奈子は俺のもの』みわ